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名護市大浦湾においての、海上保管庁の違法警備に対する抗議声明を、当事務所の弁護士も参加している辺野古新基地建設反対弁護団、基地の県内移設に反対する県民会議、ヘリ基地反対協議会の連名で出しました。声明文を以下のとおり紹介します。
海上保安庁の違法警備に対する抗議声明
1 2015年4月28日、名護市大浦湾において、警備活動を行っている海上保安官により、辺野古新基地建設に反対する抗議船(定員6名)1隻が転覆させられ、乗員1名が救急搬送された事件が発生した。しかも、この事件は、既にエンジンを停止して動きを止めている抗議船に対し、複数の海上保安官が強引に乗り込んだために発生したものであって、上記海上保安官らの行為は、何ら必要のない行為である上、人命を危険に晒す許し難い行為であった。
海上保安庁の過剰警備に関しては、同年2月10日、定員に達していた抗議船に複数の海上保安官が乗り込んで船体を傾かせた転覆未遂事件や、同年4月27日にも、抗議船に海上保安庁のゴムボートを衝突させ、船体を損傷させた事件も存する。上記各事件に加え、海上保安庁は、安全指導に名を借りて、市民やマスメディアが乗り組んでいる船舶やカヌーの停止、カヌーの転覆、船舶の強制曳航、取材妨害などの措置に及んでいる。これらの警備活動中に、市民が海上保安官による暴力を受けて負傷した事件も発生しており、捜査機関が現在捜査中である。
2 また、海上保安官が強制的な措置をとりうるのは、海上保安庁法18条に定める要件すなわち、①海難等の危険な事態、②生命身体への危険や財産への重大な損害のおそれ、③急を要する、という3つの要件を充足した場合に限られ、かつ取り得る措置も、船舶の停止や、危険行為の制止など、限定列挙されている。
本来、人に対する強制処分は、裁判官の発する令状に基づかなければならないものであり、上記措置は、「令状主義」に対する緊急やむを得ない例外措置であって、その要件は厳格に解釈されなければならない。
現在、海上保安庁が行っている海上での強制措置は、上記3要件を充足しておらず、また、船舶を転覆させる行為は海上保安庁法に規定されている強制的な措置の範囲を超えており、違法な行為であることは明らかである。
なお、同条1項は、「犯罪が正に行われようとするのを認めた場合」にも、強制措置をとりうることを認めているが、市民らの抗議活動は正当な表現行為である上、本件抗議船は、既にエンジンを停止して動きを止めていたものであり、これを転覆させることまでを法が許容していないことは明らかである。
したがって、このような違法行為については、告訴をし、厳しい処罰を求めていく。
3 そもそも、辺野古新基地建設に対する市民の活動は、憲法上認められた表現の自由の行使の一環でもある。特に政治的表現の自由は、民主主義社会の根幹をなす人権であることから、これに対する権力的な規制は抑制的でなければならない。
私たちは、海上保安庁に対し、法の定める強制措置の際の厳格な要件を遵守し、かつ市民の政治的表現活動の自由に対して十分な配慮をなすよう、強く求める。
2015年5月1日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
国土交通省大臣 太田昭宏 殿
海上保安庁長官 佐藤雄二 殿
第11管区海上保安部 御中
基地の県内移設に反対する県民会議
共同代表 山城博治
ヘリ基地反対協議会
代 表 安次富 浩
辺野古新基地建設反対弁護団
代 表 池宮城 紀夫
2015年05月22日(金)
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