みなさまと共に歩んで半世紀

お知らせ

 

『沖縄の環境・平和・自治・人権』(七つ森書店)出版のお知らせ

 

「沖縄の環境・平和・自治・人権-沖縄から未来を拓く」をテーマにした

日本環境会議沖縄大会(201610月開催)の内容が書籍になりました。

 

http://www.pen.co.jp/book/b281498.html

 

大会の副実行委員長として関わった当事務所の弁護士喜多自然も一部執筆

しています。

事務所の玄関にも一冊置いてありますので,お寄りになった際にはご覧に

なってください。

2017年03月07日(火)

国頭村での平成28年度森林伐採に対する抗議声明

 

 当事務所の喜多と赤嶺が共同代表、下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE Japan)等の自然保護団体有志とともに、国頭村森林組合による平成28年度の森林伐採に対して、「①国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること ②今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること」を求め、2017年2月22日に抗議声明を発表しました。

 抗議声明は、国頭村森林組合、国頭村、沖縄県知事、環境大臣、林野庁長官等に送付しました。

 以下、抗議声明の全文です。

 

 

抗議声明

2017年2月22日

関  係 者 各 位

抗議声明の趣旨

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとと もに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること

抗議声明の理由

1 環境省及び沖縄県は,やんばる地域の世界遺産登録を目指す立場を明確にしている。環境省は,2016年9月15日,国内33箇所目の国立公園として,沖縄島北部地域を「やんばる国立公園」として新たに指定した。これは世界自然遺産への登録をにらんでのことだという。

 また,政府は,2017年2月2日までに,「奄美大島,徳之島,沖縄島北部および西表島」の世界遺産登録への正式推薦書をユネスコ本部に提出した。

 

2 他方,国頭村内では,現在,下記の3か所において伐採が行われている。その伐採は,皆伐という,草木を全て伐採して山を丸裸にする方法を採っている。

 1.字謝敷・智津気山1249―1     4.96

 2.字辺土名・内間1094―393    1.50

 3.字宇良・与俣原317―15      2.40

 このうち①字謝敷の伐採地は,国立公園の第2種特別地域に該当する。国立公園内において4.96haという広範囲が皆伐されているという事実は,国立公園の指定が,やんばるの自然保護に十分な有効性を発揮していないことを示している。

 

3 やんばるは,世界自然遺産登録条件のうち、「生態系」及び「生物多様性」の項目に該当する可能性があるとされている。

 しかし,皆伐が行われ続けると,上記登録基準に非該当とされ,登録が困難になることは明らかである。

 

4 やんばる地域の世界自然遺産登録を目指している環境省,沖縄県及び国頭村が,このような事態を容認・放置するのは,行政として矛盾した対応である。

 世界遺産登録は,やんばるに世界的な注目を集め,集合知をもってその発展を模索する契機となりうる。持続可能性を無視して自然を利用し続けること及び人間が生活して富を得るための代償であるならばやむを得ないという態度を再考し,国頭三村が森林の保全・保護と経済的自立を両立する機会として利用すべきである。

 我々は,環境省,沖縄県及び国頭村に対し,世界遺産登録という方向性に沿い,やんばるの自然をこれ以上破壊せず,保全・保護する方策を採るよう提言する。

 

抗議声明表紙 別紙

画像をクリックするとPDFで抗議声明と添付資料をご覧いただけます

2017年02月23日(木)

事務所NEWS no.12(2017年1月号)

 

2017年1月号の事務所NEWSをアップしました。

2017事務所ニュース ←こちらをクリックしてください)

 

今号の記事の内容は次のとおりです。ぜひ、ご一読下さい。

 

「辺野古違法確認訴訟高裁判決を乗り越えて」 弁護士 加藤 裕

「50周年記念行事を終えて」 弁護士 阿波根 昌秀

「国際的視点から取り組む沖縄の問題」 弁護士 喜多 自然

「新発見」 弁護士 赤嶺 朝子

「消費される沖縄」 弁護 士白 充

「韓国民弁との10周年交流会に参加して」 弁護士 上原 智子

「B型肝炎訴訟-偏見と差別-」 弁護士 横田 達

「新人弁護士の紹介」 弁護士 下地 聡子

「『第2次普天間爆音訴訟』判決報告」

事務所ニュース 表紙画像

↑画像をクリックすると全ページ(PDF)が表示されます。

2017年01月23日(月)

年末年始休業のお知らせ

 

当事務所は、下記の期間を年末年始休業日とさせていただきます。

皆様にはご不便をおかけいたしますが、予めご了承くださいますようお願いいたします。

2016年12月29日(木)~2017年1月4日(水)

2016年12月28日(水)

高江オスプレイパッド建設差止仮処分抗告審決定に対する声明

 

 2016年12月15日に、福岡高等裁判所那覇支部が下した高江オスプレイパッド建設差止仮処分抗告事件の決定に対して、高江ヘリパッドいらない住民の会と高江弁護団は、共同声明を出しましたので、下記のとおり紹介します。

        高江オスプレイパッド建設差止仮処分抗告審決定に対する声明

 東村高江のオスプレイパッド建設に関し、高江住民ら31名が、その工事差止めの仮処分命令の申立を却下した那覇地裁決定に対する抗告審において、福岡高等裁判所那覇支部は、本日、住民らの抗告を棄却した。
 つい2日前には、オスプレイの墜落事故が発生し、オスプレイの危険性が現実化したばかりであるにもかかわらず、このような危険な航空機の運用を前提とする本件オスプレイパッド建設工事を是認する本決定は、法の番人としての責務を放棄し、住民らを危険にさらすものであって到底是認することはできない。
 また、騒音の問題に関しても、現在建設中の各オスプレイパッドが、既に運用を開始しているオスプレイパッドよりも高江集落から離れていることを殊更に取り上げて騒音被害を矮小化しているが、これは、各オスプレイパッド間を訓練飛行する可能性を完全に無視するものであって、本件における事実関係から目を背け、騒音被害に対して文字どおり耳を塞ぐものと言わざるを得ない。
 私たちは、裁判所が人権の砦としての役割を放棄し、政府の行為を無批判に追認して騒音被害の発生に手を貸した上、住民らを生命の危険に晒す判断をしたことに対して、強く抗議するものである。

                              2016年12月15日
                              ヘリパッドいらない住民の会
                              高 江 弁 護 団

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2016年12月16日(金)

第2次普天間基地爆音訴訟判決に対する声明

 

 11月17日に、普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団及び第2次普天間基地爆音訴訟弁護団は、以下の声明を発表しました。

 

第2次普天間基地爆音訴訟判決に対する声明

 

1 那覇地方裁判所沖縄支部は,本日,普天間基地爆音訴訟について,爆音の違法性を認定し,損害賠償を命じた。本判決は,1次訴訟に引き続き,同基地から発生している爆音の違法性を認定し,住民に及ぼす甚大な被害を認めたという点で意義がある。

2 すなわち,本判決においては,普天間基地の騒音が受忍限度を超える生活妨害や睡眠妨害などを生じさせている事を認定した上,沖国大ヘリ墜落などの事故の頻発を指摘し,住民が米軍機墜落の不安感や恐怖感を感じていること,その精神的被害を増大させていることを認定している。また,騒音被害が生活妨害等にとどまらずそのストレスによって高血圧症発生といった健康上の悪影響のリスクが増大することを認めている。そして,本判決は普天間基地の騒音被害について,単なるうるささにとどまらない,深刻で複合的な被害が発生していることを指摘し,これらの事実を踏まえ,過去最大の賠償額を認定している。

また,国が主張していた「危険への接近」は全面的に排斥された。普天間基地の被害を過小に見せかけようとしてきた国の弁解が断罪されたといえる。

  これらの点で本判決は一定の評価をなし得るものである。

3 しかしながら,本件訴訟においても,住民が最も切実に求めていた爆音の差止については,これまでと同様に「第三者行為論」によって排斥されている。

また,そうでありながら,普天間飛行場提供協定の違憲無効確認及び憲法上の裁判を求める権利侵害については正面から判断することを避けており,結局原告らの抜本的救済についてはまたも実現されない結果となった。

国と米軍によって基地周辺住民に違法な損害が現在も日々発生しているというのに,それを司法が阻止できないという現状を司法自らが認めることは,法治国家,民主主義国家としてあるまじき事態で,司法の自己否定である。

  米軍機による被害の発生防止は第三者行為論により排斥され,裁判を受ける権利を侵害されている事実は認めない,これでは,原告らは合法的な救済手段を得られないまま,永遠に被害を甘受せよというに等しい判決であって,到底是認することはできない。

4 わたしたちは,福岡高等裁判所那覇支部に控訴し,かかる地裁判決の誤った判断を是正させるとともに,日米両国政府に対し,住民が受け続けている被害を真摯に受け止めさせ,「静かな夜」を実現させるよう強く求めるものである。

2016年11月17日       

普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団

第2次普天間基地爆音訴訟弁護団

2016年12月12日(月)

人間らしく働くための2016 沖縄宣言

 

 2016年11月12日・13日に開催された「第27回人間らしく働くための九州セミナー」において、

「人間らしく働くための2016 沖縄宣言」が採択されました。

 当事務所の弁護士も運営に関わっていましたので、宣言文を紹介します。

 

 (下の画像をクリックすると宣言文の画像が拡大表示されます)

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2016年12月07日(水)

高江オスプレイパッド建設差止仮処分申立事件決定に対する声明

 

 2016年12月6日に那覇地方裁判所が下した高江オスプレイパッド建設差止仮処分申立事件決定に対して、高江ヘリパッドいらない住民の会と高江弁護団は、共同声明を出しましたので、下記のとおり紹介します。

 

高江オスプレイパッド建設差止仮処分申立事件決定に対する声明

 東村高江のオスプレイパッド建設に関し、高江の住民ら31名がその差止めを求めて仮処分を申し立てた事件について、那覇地方裁判所は、2016年12月6日、住民らの申立を却下する決定を下した。

 高江のオスプレイパッドは、著しい騒音に加えて墜落の危険や環境への悪影響などが懸念されるオスプレイの訓練に利用されるものであるが、とりわけ本年6月の飛行訓練による騒音被害は異常であって、既設ヘリパッドに加えて、新たなオスプレイパッドが建設されれば、甚大な騒音被害にさらされることは明らかな状況にある。

 これに対し、裁判所は、甚大な騒音が発生した2016年6月の騒音についてはこれを軽視し、また、きわめて不規則な飛行による騒音が発生するという演習場としての特殊性を考慮せずに、住民らの訴える騒音被害について、十分な疎明がなされていないとして、これを却下した。

 この判断は、オスプレイの飛行訓練による騒音に耐えかねて本件申立を行った住民らの声に耳を傾けず、工事完了後には、いわゆる第三者行為論を裁判所が採用する限り、被害を食い止める方法がないにも関わらず、裁判所自らが、漫然と騒音被害発生に手を貸すものであり、断じて許すことはできない。

 近時、各地の裁判所においては、原子力発電所の再稼働差止めを認める判決や、自衛隊機の夜間飛行差止めを認める判決など、人間の尊厳や環境の保全に配慮した画期的な判決が出される中、那覇地裁がこのような決定を下したのは誠に遺憾である。

 私たちは、裁判所が人権の砦としての役割を放棄し、住民らの訴える被害を直視せず、国策に追従して騒音被害の発生に手を貸したことに強く抗議するとともに、今後も正当な表現活動として、高江オスプレイパッド建設に対し、抗議を続けていくものである。

2016年12月6日

 高江ヘリパッドいらない住民の会

 高 江 弁 護 団

 

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2016年12月07日(水)

11月21日開催シンポジウム「沖縄から問う 報道と表現の自由」のお知らせ

 

下記のシンポジウムについて、当事務所の弁護士加藤が司会を務めることになりましたので、お知らせします。

沖縄の報道の自由、表現の自由をどう守るか、沖縄の声を届ける方法・戦略を考えるシンポジウムとなっております。

ぜひご参加ください。

シンポジウム「沖縄から問う 報道と表現の自由」

日時 2016年11月21日(月) 午後6時半~午後9時(午後6時開場)

開場 沖縄タイムスホール(那覇市久茂地2-2-2 タイムスビル3F)

資料代:一般500円(学生無料)

 

【基調講演】 

「本土から見る 沖縄と報道の自由」

講演者:岸井成格氏(毎日新聞社 特別編集委員)

 

【パネルディスカッション】

司会 加藤裕弁護士

岸井成格氏(毎日新聞社 特別編集委員)

安田浩一氏(ジャーナリスト)

Anna Fifield氏(The Washington Post 東京支局長)

 

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共催:沖縄国際人権法研究会 沖縄タイムス社

特別協力:連合沖縄

後援:沖縄弁護士会

お問い合わせ 沖縄タイムス TEL098-860-3000 内線1303

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2016年11月07日(月)

第33回日本環境会議沖縄大会宣言

 

2016年10月23日に採択された「第33回日本環境会議沖縄大会宣言」を、下記のとおり紹介します。

 

第33回日本環境会議沖縄大会宣言

2016年10月23日

第33回日本環境会議沖縄大会

 

 第33回日本環境会議沖縄大会は,2016年10月21日から23日,沖縄国際大学で開催された。「環境・平和・自治・人権-沖縄から未来を拓く」をテーマに,国内・外から400名をこえる参加を得て,全体会,6つの分科会を通して活発な討論が行われた。

 

1 「環境・平和・自治・人権」の観点から見た沖縄の現状と問題点

 

(環境)

 沖縄では,1988年に第8回,1996年に第16回の日本環境会議が開催され,今回は3回目の開催になる。第16回の沖縄大会では,軍事基地の存在や公共投資による環境破壊の問題点が指摘され,軍事基地の撤去や循環型社会をめざす新たな産業振興策などの提案がなされた。しかし,それから20年を経た現在,沖縄ではいっそう自然環境破壊が進行し,住民の生活を脅かす環境汚染についても適切な対策が取られず放置されている。政府が強行する辺野古の新基地建設,高江ヘリパッド建設により,沖縄の中でもとくに自然度が高く生物多様性の豊かな大浦湾や亜熱帯の森林が大規模に破壊されている。土砂採取場所となる西日本各地の環境破壊も重大である。既存の米軍基地から発生する航空機騒音,有害物質による土壌・水質汚染なども,オスプレイの強行配備を初めとした米軍の運用の優先とその根拠となる排他的な管理権の存在により,改善されるどころか悪化する一方であり,住民の生活環境や自然環境が脅かされている。

(人権)

 我々は,何よりもまず,このような沖縄が直面する環境問題は,人権問題であることに目を向けなければならない。軍隊は,本質的に人権侵害を発生させる暴力装置であり,しかも日米地位協定による米軍の排他的な管理権と本来それを規制すべき日本政府による無策のため,結果として地域住民の権利が侵害されている。1992年のリオ・サミットを契機に世界は良好な環境の享受とそれを次世代に伝えていくことを重要な人権と位置づけてきたが,沖縄では環境の破壊による人権侵害が一層進み,また反対運動の弾圧による表現の自由の制約,恣意的なアセスによる知る権利や参加権の侵害などにより住民の声も抹殺されている。

(平和)

 現在,沖縄は,日米同盟の強化の一環と位置づけられた新基地建設,2013年の防衛大綱・中期防衛力整備計画による琉球弧の防衛体制の強化,それに伴う自衛隊配備など,日米両政府による軍事要塞化のまっただ中にある。沖縄は,第二次世界大戦で激しい地上戦を経験し,その後もアメリカによる直接統治の下で日本国憲法の平和主義の適用を受けずに米軍基地の負担を引き受けた。本土復帰後もそのような構図が維持・拡大されて現在に至る。軍隊では平和は作れないことを身をもって体験した沖縄の,軍隊のない平和な暮らしを求める声は未だ実現されるにほど遠い状態である。そればかりか,現在進みつつあるのは攻撃性を有する本格的な軍事基地の建設であり,憲法9条の平和主義の枠を大きく超えるものである。日本政府が根拠とする地理的優位論はもはや完全に破綻しており,むしろ沖縄を中心にして,軍隊に頼らない地域全体の安全保障を構築すべく,叡智を結集する必要がある。

(自治)

 沖縄は,政府の横暴に対して明確な反対の意思表示をしつづけている。2013年の仲井眞知事(当時)による辺野古新基地建設のための公有水面埋立承認は,明らかな公約違反であり,沖縄はオール沖縄のもとに結集し,翁長県政を中心に,辺野古新基地建設反対を初めとして,沖縄が抱える諸課題の改善を訴えてきた。そのような意思表示を無視する政府の行為は,憲法92条の保障する地方自治の侵害であり,沖縄の自治権・自己決定権の侵害である。国と自治体を対等協力関係とする地方自治法のもとで,自治体の意思に反し,自治体はおろか政府さえも規制ができない米軍基地の建設・提供を強行すること,そして現に生じている環境破壊と人権侵害を放置することは,民主主義国家として到底許されるものではない。沖縄の民意を完全に踏みにじる行政の対応のみならず,辺野古埋立承認の取消処分に対する是正指示の裁判の高裁判決は,憲法の保障する自治権の根幹を揺るがす行為であり,全ての自治体に関わる問題である

 もともと非植民地化の過程で発展してきた人民の自決権(国連憲章第1条,国際人権規約1条(社会権規約・自由権規約共通))は,現在では,政治的・経済的・社会的・文化的な意味でのマイノリティが自己発展のために集団として有する法的権利として国際人権法上確立している。米軍基地はもとより琉球弧への自衛隊配備は,軍事利用の強制であり,沖縄の人々の自己決定権を侵害するものである。

 米軍基地の集中と自衛隊配備による軍事要塞化は,沖縄のコミュニティを破壊し,経済的自立を阻害している。とくに沖縄を初めとした琉球弧では,小さな島々の集まる島嶼地域に住民が密集して居住しており,そこに広大な軍事基地を抱えることは,必然的に,自然環境と共存してきた地域共同体やその自立的経済に緊張を生み出すものであり,本質的に相容れないものであることを認識する必要がある。

(構造的差別)

 このような米軍基地の集中と自衛隊配備による軍事要塞化,それによる住民の人権の侵害,自治,民主主義の不在は,高江での機動隊員による「土人」発言に象徴されるように,琉球処分以来積み重ねられてきた歴史的な構造的差別の上に存在するのであり,その一刻も早い解消は日本全体の喫緊の課題である。そして本大会では,独自の文化を有する沖縄が受けてきた琉球処分以来の歴史的不正義(植民地化)の問題,さらには土地・領域・資源に対する権利が明確に位置づけられた2007年の国連先住民族権利宣言に基づく自己決定権の問題が議論された。この問題は,国連において一定の議論がなされてきた経過があるものの,国内では充分に議論されてこなかった問題であり,今後,日本の近現代史を検証しつつ日本全体で議論が行われることが必要である。

 

2 放射能公害及び原発被災者の現状と政府の被災者支援・原子力政策の問題点

 

 沖縄には,原発事故直後から,放射能公害の恐怖から逃れて多数の被災者が避難してきた。そのような避難者の多くは,困難な家庭環境・経済環境の中で,とくに未来を担う子どもの生命と健康を最優先にして沖縄まで避難してきた。本大会でも,そのような被災者が多く参加してそれぞれの置かれた窮状を訴えたことを我々は重く受け止めなければならない。

 東日本大震災・原発事故から5年を経過した現在も福島第一原発事故は未だ完全には収束しておらず,十数万人の被災者が避難生活を余儀なくされている。政府は原子力緊急事態宣言のもと,年間20ミリシーベルトを避難指示の目安とし,放射線障害防止法および原子炉等規制法に基づく年間1ミリシーベルトを上回る地域に対しても避難指示を出さなかった。さらに政府はいま,避難指示解除による住民の帰還や賠償の打ち切りなどを進めようとしている。放射線が人の健康に及ぼす危険性は科学的には十分認知されており,政府は放射能公害の実態を把握するとともに,健康被害を防ぐために最大限の措置を講じるべきである。被災者の避難の選択は,避難の権利として十分に尊重されるべきである。避難によって生活基盤を揺るがされている被災者と放射能公害全被災者の生存権の回復が急務であり,長期待避を含む避難者の多様な選択の保障など,住民の健康・生活をまもるために必要な法制度の整備を図らなくてはならない。福島の事故により,多くの住民が,避難者,滞在者を問わずに,ふるさとの喪失・変容を含む深刻な被害を被っている。被害回復に向けて多くの被災者が訴訟で東電や国の責任を追及し,自らの権利を回復するために立ち上がっており,広範な市民がそれを支援することが求められている。

 政府は,原発再稼働,新増設,原発輸出を推進している。これは,少数民族を含む周辺地域住民の人権侵害と環境汚染のリスクを海外にまで拡大するものである。このようなことは到底許されてはならない。

 

3 一人一人が大切にされ,安心して暮らせる地域社会を取り戻す

 

 以上に共通点するのは,全体の利益という名目のもとで,一部の者の犠牲,切り捨てが公然と行われ,しかもそれが制度化,構造化されているところにある。我々は,戦後日本の市民社会が日本国憲法の下で育んできた「環境・平和・自治・人権」という基本的価値,そしてこれらを支える「個人の尊厳」という原点に立ち返り,誰かを犠牲にするのではなく,一人一人が大切にされ,安心・安全に暮らせる,持続可能な地域社会を取り戻さなければならない。そして,そのような社会の基盤となる環境を破壊・汚染することなく次世代に継承することが,現代に生きる我々の重要な責任である。

 

 本大会の議論を踏まえ,下記の提言を行う。

 

1 政府は沖縄の民意を尊重し,辺野古新基地建設,高江ヘリパッド建設を直ちに中止すべきである。また,現在提供されている米軍基地からの人権侵害を止めるべく,県民の意思に反して強行されたオスプレイ配備の撤回や世界一危険と称される普天間基地の即時閉鎖を米国に求めるなど,住民の権利の回復のための積極的な措置をとるべきである。また最高裁判所は,憲法92条に定められた自治権の保障にかなった判決を下すべきである。

2 政府は汚染者負担の原則を回避する日米地位協定を改定し,米軍の原状回復義務を明確に位置づけるべきである。また,米軍基地に由来することが疑われる環境破壊・環境汚染に対しては,対応を日米合同委員会の裁量に委ねるのではなく,地元自治体や市民団体の立入調査権を明記すべきである。過去に返還された土地を含め,汚染状況に関する可能な限りの情報公開を行い,住民の知る権利を確保すべきである。

3 政府は環境や人権に影響を与える事業について地域住民の意思を反映させるため,情報アクセス権や環境影響評価の過程における参加権の充実をはじめとした,環境民主主義を実現させる法制度を構築すべきである。また,民主的過程による意思決定プロセスを阻害するスラップ訴訟を防止する対策も検討すべきである。

4 琉球弧への自衛隊配備は,安保法制の下,専守防衛の枠を超えた本格的な軍事基地化であり,地域の環境や自治,コミュニティを破壊するものである。生活を基軸とする民間交流の促進によって,平和を創っていくのが琉球弧における住民の歴史的な教訓であり,政府は琉球弧への自衛隊配備計画を直ちに撤回すべきである。

5 政府は,放射能汚染を明確な公害と位置づけて包括的な疫学調査,健康調査を行い,被害の実態を把握すべきである。また,医療・医療費の給付,住宅支援継続・拡大など,生存権を尊重するための施策を早急に拡充すべきである。また,被災者が訴訟を通じて自らの権利を回復するために立ち上がっており,広範な市民がそれを支援することが求められている。

6 政府は,新たな環境汚染の原因となりうる原発再稼働,新増設,原発輸出政策を直ちに中止すべきであり,既存の原発も廃止して脱原発を図るべきである。

7 市民や専門家などがそれぞれの立場で経験交流,意見交換・議論などを行う場を設け,また民間交流を促進することにより,一人一人が大切にされ,安心して暮らせる地域社会に向けた国内的・国際的レベルでの社会的連帯を深めること,とくにこれからの時代を担う若い世代の協働を促進することが必要である。

 

以 上

2016年10月25日(火)

取り扱い弁護団事件

 

 

事務所通信

事務所NEWS no.12(2017年1月号)

「辺野古違法確認訴訟高裁判決を乗り越えて」弁護士加藤裕/...

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