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宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書の再提出に断固反対する声明

 

 宮古島市が宮古島ごみ問題住民訴訟を提起した宮古島市住民の原告6名に対し、損害賠償請求の訴え提起を求める議案書を宮古島市議会に提出し、その後撤回した問題で、2019年9月20日に宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団らは、議案書の再提出に断固反対する抗議声明を発表しました。

 

宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書の再提出に断固反対する声明

1 宮古島市が、宮古島ごみ問題住民訴訟を提起した宮古島市の住民6名に対し、同市の名誉を毀損したとして、損害賠償請求の訴えを求める議案書を市議会に提出した件について、去る9月17日、議案を提出した同市長は、同議案書を撤回することを同議会に通知し、同月18日に議会において同議案書の撤回が承認された。

 報道によると、市長は、撤回理由について、議案書の形式面について不備があったため、それを精査する必要があると説明しており、再提案の有無については明言を避けている。

 議案書の撤回は市民の運動の大きな成果といえるが、上記訴訟費用として60万円余りを計上した予算案は未だ撤回されていない状況であることから、9月25日までの議会会期中に再提案がなされる可能性も否定できず、予断を許さない状況にある。

 

2 この間の新聞報道によると、市当局は、住民訴訟で住民側の敗訴が確定した後に開催された住民側の報告集会の様子を報道した新聞記事で「裁判を通して不正な行政手法は許さないという基盤が確立された」という等の訴訟代理人(弁護士)の発言が名誉毀損に該当すると主張している(沖縄タイムス2019年9月14日付参照)。

 しかしながら、上記内容はそもそも同市の社会的評価を低下させるものではない上、訴訟代理人の発言をもって、住民訴訟の原告ら自身が市の名誉を毀損したと構成すること自体非常識であり、成り立ち得ないものである。

 また、市当局は、訴訟で敗訴した原告らが判決や市政を批判すること自体が問題であるかのような説明をする。しかしながら、民主主義社会においては、裁判所が下した確定判決といえども当事者及び学者等から批判を受け、それにより法解釈が発展していくものである。また、訴訟で敗訴しても、判決文で行政の事務処理のずさんさ・不当性が指摘されていたのであるから、その観点から住民が市政に対し是正を求めることは憲法上保障された住民主権(住民自治)から当然のことである。

 市当局の上記説明からすると、上記議案書が、市政を批判する住民らを狙い撃ちしたスラップ訴訟であることがより明らかとなった。

 

3 議案書の形式面が整ったとしても、住民訴訟を提起した原告らに対し、同市が名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟を提起するということは、市政を批判する住民に対する報復、恫喝、弾圧を目的とする裁判であることに変わりない。この点については、我々弁護団が2019年9月12日付「宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書に対する抗議声明」で指摘したとおりである。

 

4 よって、我々弁護団は宮古島市当局に対し、訴訟提起にかかる予算案を速やかに撤回し、議案書の再提出の断念を求めるとともに、仮に、再提出されれば、議会が良識と道理に基づいて速やかに否決することを強く求めるものである。訴訟提起は市民をいたずらに分断することにもなり、円滑な市政運営の観点から言っても許されるべきではない。

 我々弁護団は、民主主義の原理を損ねるスラップ訴訟提起に断固反対するとともに、宮古島市民とともに最後まで闘う決意を表明するものである。

 

                                 2019年9月20日

 

宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団

高江弁護団

識名トンネル住民訴訟弁護団

石垣市教科書問題住民訴訟弁護団

やんばる命の森第3次住民訴訟弁護団


2019年09月24日(火)

 

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