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本日(2020年3月19日)、辺野古の埋立に関し、住民が国を相手方として、国交大臣がなした裁決の執行停止を求めていた裁判に関し、那覇地方裁判所が判断を出しました。結論は却下ですが、一部の住民について原告適格を認めました。
国の違法を許さない住民の訴訟原告団と同弁護団は、記者会見を開き、「公有水面埋立承認撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決の取消を求める訴訟の早期判決を求める声明」を発表しました。
声明文を下記に紹介します。
1 那覇地方裁判所は、辺野古新基地埋立地域周辺に居住する原告らが、公有水面埋立承認撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決取消及び執行停止を求めていた訴訟に関し、執行停止に関する決定を出したものの、取消訴訟の判決については本日指定されていた判決期日を取り消した。
2 同裁判所は、執行停止に関して、申立人15名の内4名については原告適格を認めた上で、重大な損害を避けるため本件裁決の効力を停止する緊急の必要性がないとして、申立人らの申立を却下した。
同決定が緊急の必要性を認めなかった点は、国による埋立工事強行によって現に申立人らに被害が生じており、申立人らが切迫した状況下に置かれていることについて理解を欠いたものと言わざるを得ず、不当である。
他方、同決定が、原告適格の判断において、公有水面埋立法4条3号及び4号要件から埋立地の用途による影響を含めて原告適格を認めた点は、従来の裁判例に照らして画期的な側面を含んでいる。すなわち、同決定は、沖縄県が撤回処分の理由として挙げていた1号及び2号のみに限定することなく、3号及び4号の要件を参酌し、埋立行為又は埋立地の用途により、災害又は公害による健康若しくは生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は原告適格を有するとした。そして、申立人3名(辺野古在住)については、埋立地の供用後、環境基準値を相当程度上回る航空機騒音により健康又は生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとして、申立人1名については、周辺高さ制限に抵触する建築物高を有しており、供用後の航空機運航により災害を直接的に受けるおそれがあるとして、それぞれ原告適格を認めた。その余の申立人について原告適格を認めなかった点は不十分ではあるが、本案の実体判断に入る可能性を認めた点は評価できる。
なお、同決定は、本件埋立海域を埋め立てるに際しては、軟弱地盤問題が実際に存在していることが公知の事実となっているためこれに伴う設計概要の変更につき沖縄県知事の承認を受ける必要があり、それに際して改めて環境影響評価が実施されるべきことが考慮されなければならないと指摘している。国は、このような裁判所の指摘を真摯に受け止め、今後続行不可能になる可能性のある工事を直ちに中止すべきである。
3 取消訴訟判決の準備はできていただろう中で、那覇地方裁判所が、直前に判決期日を取消し、その理由の説明もしないことは誠に遺憾である。来る3月26日に最高裁判決が予定されており、その影響が想定されるところであるが、仮に、担当裁判官らに何らかの圧力がかかり、本件訴訟の判決日が取り消されたのであれば、憲法が保障する裁判官の独立を害するものと言わざるを得ない。
担当裁判官には、良心のみに従って、毅然として、早期に取消訴訟の判決を下すよう求めるものである。
2020年3月19日
国の違法を許さない住民の訴訟原告団
同弁護団
2020年03月19日(木)
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