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メーデーでの共謀罪についての特別発言

 

 2017年5月1日に与儀公園で開かれた「第88回メーデー」で、弁護士喜多自然が共謀罪についての特別発言を行いました。

 発言要旨を下記のとおり紹介します。

 メーデーにお集まりの皆さん、沖縄合同法律事務所の喜多といいます。よろしくお願い致します。
 安倍政権は、3月21日、共謀罪法案を閣議決定致しました。そして法案を衆議院に提出し、現在、衆議院で審議がされております。


 この共謀罪、どういうものかというと、犯罪というのは、本来、何らかの被害が出る、結果が発生する、それから処罰をするというのが原則です。しかし、共謀罪は、犯罪を計画をした、その「計画」、それによって犯罪が成立してしまう、そして処罰の対象になるという非常におそろしいものです。それゆえ、内心の意思を処罰することになるのではないかという強い懸念があり、これまで国会で審議がされましたが、3回にわたって廃案になりました。しかし、安倍政権は、秘密保護法を成立させ、また「戦争法」を成立させ、そして今国会で共謀罪を成立をさせようともくろんでいます。なんとしてもこの安倍政権の動きを止めなければなりません。


 政府は、「組織的犯罪集団だけが対象です。一般の集団は対象になりません」と説明しています。しかし、ある団体が組織的犯罪集団なのかどうか誰が決めるのでしょうか。それを決めるのは国家権力です。国家権力が、この団体は犯罪集団だと決めてしまえば捜査の対象になってしまうわけです。ですから、労働組合、市民団体、そのような活動を行う団体がすべて共謀罪の対象になるのだと、そういう危機意識を持たなければなりません。


 共謀罪の何が一番問題かというと、監視社会をもたらすということです。共謀、犯罪の合意、話し合い、こういったものは外から見えません。外から見えないものを処罰する、どうやって処罰するのでしょうか。それは、話し合いの中身をきちんと監視をしなければ処罰できないわけです。そこで一番使われる可能性があると言われているのが、盗聴です。盗聴というのは1999年に通信傍受法という法律ができ、正式に捜査機関が盗聴できるということになっています。そしてこの法律は昨年2016年に大幅に改正されました。元々は薬物犯罪などの非常に限定された犯罪だけに使われるものでした。しかし、日常生じるような犯罪にも、盗聴が使われるということが正式に法律になっています。そして、盗聴のための手続も非常に簡略化されました。将来、共謀罪ができてしまえば、盗聴もその対象にすることを検討すると法務大臣が正式に答弁をしているわけです。やはりこういう状況について我々は危機感を持たなければならないのしょうか。


 そして盗聴だけではありません。例えば、皆さん方のご自宅、事務所、そういうところで勝手に監視カメラがつけられたり、勝手に盗聴器をしかけられたり、今はそういうことは許されませんが、そういうことを現実に行えるようにしようということが、まことしやかに国の中で議論されております。そして、仮にこのような手段が可能になり、共謀罪が成立をしてしまえば、我々の労働運動に非常に大きな影響があるという危機感を持たなければなりません。実際に昨年の参議院選挙のとき、大分県で労働組合の事務所の敷地内に警察によってカメラが仕掛けられ、出入りが監視されていたという事件が起こっています。そういうことがこれからも起こっていく可能性が非常に高いといえます。


 共謀罪ができてしまえば、例えば、団体交渉しましょう、ストライキしましょう、こういう当然の労働者の権利が、犯罪になってしまうということが本当に行われる可能性があります。例えば労働組合で辺野古に行こう、高江に行こう、新基地建設を阻止しよう、平和な沖縄をつくろう、そういうことを呼びかけただけで共謀罪が成立します。そういうことを我々は絶対に許してはなりません。


 先程から他の発言者からも話が出ていますが、治安維持法との関係を指摘せざるを得ません。治安維持法は1925年、帝国議会で成立をしました。そのときの国の答弁は、労働運動、市民運動には全く関係ない、そういう答弁でした。大臣が正式にそう答弁しています。しかしその後どうなったでしょうか。1928年、3年後にはすぐ改正をされて、労働組合も取締りの対象になります。そして、日本が戦争に向かっていく中で、戦争に反対をする、それが取締りの対象に拡大されてきてしまったではないですか。そういう治安維持法の教訓というのを我々は今一度思い起こさなければなりません。


 今、共謀罪の成立を阻止できるかどうか、大きな岐路に立っています。我々の社会の労働者の権利をきちんと守っていく、そして、民主主義を守っていく、国民の人権を守っていく、そのための大きな岐路に立っています。


 今回の通常国会会期末は6月18日です。6月18日までに、皆で共謀罪反対の声を大きくして法案を成立をさせなければ、この法案は廃案になります。ぜひみなさん協力して廃案に持ち込もうじゃありませんか。これからも連帯してがんばりましょう。今日はどうもありがとうございました。

以上 

 

喜多 メーデー

メーデーで発言する喜多弁護士


2017年05月11日(木)

 

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