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お知らせ

 

RBC NEWS「特集 辺野古住民訴訟原告の思い」2021/01/27

 

当事務所が弁護団事務局を務めております辺野古住民訴訟に関連した特集が、1月27日の琉球放送(RBC)ニュースで取り上げられました。

RBCのYouTubeのリンクを貼って紹介します。

ぜひご覧ください。

 

RBC NEWS「特集 辺野古住民訴訟原告の思い」2021/01/27

RBC NEWS「特集 辺野古住民訴訟原告の思い」2021/01/27 – YouTube

普天間基地の名護市辺野古への移設工事をめぐり、辺野古周辺の住民が工事を止めようと国を訴えた裁判についてです。 「辺野古は人間が住む街ではない」と声を上げる原告に、今の暮らしや訴えに込める思いなどを聞きました。

2021年02月01日(月)

1月15日開催 『辺野古新基地建設・埋め立てを止めよう! 「住民の訴訟」— 成果と展望 学習会』のお知らせ

 

辺野古新基地建設・埋め立てを止めよう!

「住民の訴訟」— 成果と展望 学習会

 

辺野古・大浦湾沿岸住民15人が原告となり、沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回を取り消した国土交通大臣の裁決は違法だとして「裁決の取り消し」を求めた訴訟は、那覇地裁提訴(2019年1月29日)からまもなく2年を迎えます。沖縄県の抗告訴訟(同じく国交大臣の裁決の取り消しを求めるもの)は中身の審理に入ることなく門前払いされました(沖縄県は高裁に控訴)が、住民の訴訟は「原告適格」と「裁決の違法性」を併せた審理が行われています。

 大浦湾の埋め立て予定地に広がる軟弱地盤や活断層の存在など「今後の工事は不可能」と専門家も口をそろえる中で、沖縄防衛局は巨大台船「デッキバージ」まで投入して土砂投入を闇雲に急いでいますが、それは「焦り」以外の何物でもありません。私たちは今こそ、沖縄県の埋め立て承認撤回の正当性を明らかにし、国民の血税を浪費して世界に誇る生物多様性の海を破壊する理不尽な工事を1日も早く断念させましょう!

 学習会では、辺野古弁護団の赤嶺朝子弁護士が、本訴訟の経過と今後の展望を、沖縄県の抗告訴訟も交えながら報告します。裁判傍聴で感じた疑問や質問、今後の運動に向けてなど、参加者からのご意見もお待ちしています。

 

と き:1月15日(金)午後6時~7時45分 (会場は8時閉館です)

ところ:県立博物館・美術館 1階講座室

 

報告:*「住民の訴訟」の経過と今後の展望(沖縄県の訴訟も交えて)……赤嶺朝子(辺野古弁護団)

    *「軟弱地盤は解決できない!」 ………… 北上田毅(沖縄平和市民連絡会/元土木技師)

原告からの訴え:金城武政 

質疑・意見交換

主催:「住民の訴訟」原告団(団長・東恩納琢磨)/辺野古弁護団

<連絡先:090-4409-1682田仲/090-7586-3348浦島>

2020年12月25日(金)

辺野古の公有水面埋立承認撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決の取消を求める訴訟の早期判決を求める声明

 

 本日(2020年3月19日)、辺野古の埋立に関し、住民が国を相手方として、国交大臣がなした裁決の執行停止を求めていた裁判に関し、那覇地方裁判所が判断を出しました。結論は却下ですが、一部の住民について原告適格を認めました。

 国の違法を許さない住民の訴訟原告団と同弁護団は、記者会見を開き、「公有水面埋立承認撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決の取消を求める訴訟の早期判決を求める声明」を発表しました。

 声明文を下記に紹介します。

 

 

 

 

 

1 那覇地方裁判所は、辺野古新基地埋立地域周辺に居住する原告らが、公有水面埋立承認撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決取消及び執行停止を求めていた訴訟に関し、執行停止に関する決定を出したものの、取消訴訟の判決については本日指定されていた判決期日を取り消した。

 

2 同裁判所は、執行停止に関して、申立人15名の内4名については原告適格を認めた上で、重大な損害を避けるため本件裁決の効力を停止する緊急の必要性がないとして、申立人らの申立を却下した。

 同決定が緊急の必要性を認めなかった点は、国による埋立工事強行によって現に申立人らに被害が生じており、申立人らが切迫した状況下に置かれていることについて理解を欠いたものと言わざるを得ず、不当である。

 他方、同決定が、原告適格の判断において、公有水面埋立法4条3号及び4号要件から埋立地の用途による影響を含めて原告適格を認めた点は、従来の裁判例に照らして画期的な側面を含んでいる。すなわち、同決定は、沖縄県が撤回処分の理由として挙げていた1号及び2号のみに限定することなく、3号及び4号の要件を参酌し、埋立行為又は埋立地の用途により、災害又は公害による健康若しくは生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は原告適格を有するとした。そして、申立人3名(辺野古在住)については、埋立地の供用後、環境基準値を相当程度上回る航空機騒音により健康又は生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとして、申立人1名については、周辺高さ制限に抵触する建築物高を有しており、供用後の航空機運航により災害を直接的に受けるおそれがあるとして、それぞれ原告適格を認めた。その余の申立人について原告適格を認めなかった点は不十分ではあるが、本案の実体判断に入る可能性を認めた点は評価できる。

 なお、同決定は、本件埋立海域を埋め立てるに際しては、軟弱地盤問題が実際に存在していることが公知の事実となっているためこれに伴う設計概要の変更につき沖縄県知事の承認を受ける必要があり、それに際して改めて環境影響評価が実施されるべきことが考慮されなければならないと指摘している。国は、このような裁判所の指摘を真摯に受け止め、今後続行不可能になる可能性のある工事を直ちに中止すべきである。

 

3 取消訴訟判決の準備はできていただろう中で、那覇地方裁判所が、直前に判決期日を取消し、その理由の説明もしないことは誠に遺憾である。来る3月26日に最高裁判決が予定されており、その影響が想定されるところであるが、仮に、担当裁判官らに何らかの圧力がかかり、本件訴訟の判決日が取り消されたのであれば、憲法が保障する裁判官の独立を害するものと言わざるを得ない。

 担当裁判官には、良心のみに従って、毅然として、早期に取消訴訟の判決を下すよう求めるものである。

2020年3月19日

国の違法を許さない住民の訴訟原告団

同弁護団

2020年03月19日(木)

「辺野古」県民投票を実現させる署名について

 

 『「辺野古」県民投票の会』において、2018年5月23日から同年7月23日までの期間で、

「辺野古米軍基地建設ための埋立ての賛否を問う県民投票条例の制定を求める沖縄県条例制定請求者署名」

の署名を集める取り組みが行われています。

 詳しくは「辺野古」県民投票の会のサイト( https://henokokenmintohyo.okinawa/ )をご覧ください。

 当事務所でも、「署名スポット」となって、同署名活動に取り組んでいますので、署名がまだの方はぜひ当事務所にお立ち寄りください。

 

県民投票1県民投票2

2018年06月18日(月)

沖縄弁護士会「辺野古新基地建設工事の停止と沖縄県との真摯な対話を求める総会決議」

 

2017年5月30日に開かれた沖縄弁護士会の定期総会において、

「辺野古新基地建設工事の停止と沖縄県との真摯な対話を求める総会決議」

が決議されましたので、沖縄弁護士会のリンクを貼って、ご紹介します。

 

「辺野古新基地建設工事の停止と沖縄県との真摯な対話を求める総会決議」

http://www.okiben.org/modules/contribution/index.php?page=article&storyid=153

 

2017年06月15日(木)

キャンプシュワブゲート前における沖縄県警機動隊による不当な身体拘束に対する抗議声明 辺野古埋立承認取消訴訟弁護団

 

 7月29日、当事務所の弁護士も参加している「辺野古埋立承認取消訴訟弁護団」が、米軍キャンプ・シュワブゲート前における県警の不当な身体拘束に対する声明を発表しました。以下、声明文の全文を紹介します。

 

   キャンプシュワブゲート前における沖縄県警機動隊による不当な身体拘束に対する抗議声明

 

1  名護市辺野古の新基地建設に反対する市民らの米軍キャンプ・シュワブのゲート前での抗議行動に対し、沖縄県警は、多数の機動隊員を動員して、市民らを排除した上、歩道脇において警察車両と鉄柵を用いて一時的な拘束場所を作り上げ、排除した市民を拘束するという行為を繰り返している。
 県警機動隊によるこれらの行為は、令状に基づかない身体拘束であり、憲法33条および34条に明らかに違反するものである。


2  これらの不当な身体拘束に関しては、上記身体拘束の現場において、県警機動隊員らに対し、当弁護団所属の弁護士が直接その法的根拠を問うたが、隊員らは、それらの質問を一切を無視して、市民に対する違法な身体拘束を繰り返した。
 しかしながら、市民らは、いずれも非暴力による抗議活動を行っているものであって、身体拘束をしなければ安全が確保できないような状況にはなく、県警機動隊による上記身体拘束は、法律上の説明が全くできない違法行為そのものである。
 さらに、県警機動隊らの排除行為は、複数名で市民の手足を制圧して身体を持ち上げ、あるいは、両腕を羽交い締めにして拘束する等して、身体の自由を直接的に奪った上で柵内に運び込むというものであって、仮に、市民の安全確保という目的であったとしても、手段の相当性を大きく逸脱するものである。
 このような県警機動隊らの行為は、市民らの基本的人権を無視し、さらには人間としての尊厳を顧みずに、あたかも「物」と同様に扱うものであって、明らかに違法かつ不当なものであるといわざるを得ない。


3  ところで、報道によると、県警は取材に対し、「人々の安全確保やトラブル防止などの観点から、法令にのっとって適切に措置している」、「人々を移動させて違法状態を解消し、車両が入るまで飛び出さないよう、資機材や車両を活用している」などと説明しているようである(2015年7月29日沖縄タイムス朝刊)。
 しかしながら、ここでいう「法令」が何を指すかは、全く明らかでない。仮に、警察官職務執行法をその根拠にしているとしても、同法は人の生命身体又は財産に危険が及ぶおそれがある場合に限り、必要な限度でこれを避けるための措置をとることができることを述べているに過ぎない。憲法上認められた表現活動を非暴力で行う市民が、そのような危険を及ぼす可能性は極めて乏しく、仮に、「人々を移動させて違法状態を解消」することが是認されたとしても、当該市民らを「資機材や車両を活用」して拘束することは、法が許容する範囲を明らかに超えている。


4  また、県警機動隊らがキャンプシュワブゲート前で行っている身体の違法な拘束は、現政権の憲法軽視の態度の表れともいえる。
 すなわち、現政権は、国民の大半が反対の意思を表明し、圧倒的多数の憲法学者が違憲と述べている安全保障法案を、衆議院にて強行採決した。
 現在、キャンプシュワブゲート前で行われている違法な身体拘束にせよ、違憲な安全保障法案の強行採決にせよ、憲法を軽視する現政権の態度が端的に表れているものであって、我々は日本の立憲主義、法治主義、民主主義のあり方に危機感を抱かざるをえない。


5  そもそも、キャンプ・シュワブ近傍で行われている辺野古新基地建設反対の市民らの活動は、憲法上認められた表現の自由の行使の一環でもある。特に政治的表現の自由は、民主主義社会の根幹をなす人権であることから、これに対する権力的な規制は抑制的でなければならないことはいうまでもない。
 我々は、県警に対し、公務員が遵守すべき憲法その他の法令の要件に従い、市民の政治的表現活動の自由に対して十分な配慮をなすよう、強く求めるものである。


                                                 辺野古埋立承認取消訴訟弁護団
                                                      団 長 池 宮 城 紀 夫

2015年07月30日(木)

海上保安庁の違法警備に対する抗議声明

 

 名護市大浦湾においての、海上保管庁の違法警備に対する抗議声明を、当事務所の弁護士も参加している辺野古新基地建設反対弁護団、基地の県内移設に反対する県民会議、ヘリ基地反対協議会の連名で出しました。声明文を以下のとおり紹介します。 
                                       

海上保安庁の違法警備に対する抗議声明
                                   

1  2015年4月28日、名護市大浦湾において、警備活動を行っている海上保安官により、辺野古新基地建設に反対する抗議船(定員6名)1隻が転覆させられ、乗員1名が救急搬送された事件が発生した。しかも、この事件は、既にエンジンを停止して動きを止めている抗議船に対し、複数の海上保安官が強引に乗り込んだために発生したものであって、上記海上保安官らの行為は、何ら必要のない行為である上、人命を危険に晒す許し難い行為であった。
 海上保安庁の過剰警備に関しては、同年2月10日、定員に達していた抗議船に複数の海上保安官が乗り込んで船体を傾かせた転覆未遂事件や、同年4月27日にも、抗議船に海上保安庁のゴムボートを衝突させ、船体を損傷させた事件も存する。上記各事件に加え、海上保安庁は、安全指導に名を借りて、市民やマスメディアが乗り組んでいる船舶やカヌーの停止、カヌーの転覆、船舶の強制曳航、取材妨害などの措置に及んでいる。これらの警備活動中に、市民が海上保安官による暴力を受けて負傷した事件も発生しており、捜査機関が現在捜査中である。


2  また、海上保安官が強制的な措置をとりうるのは、海上保安庁法18条に定める要件すなわち、①海難等の危険な事態、②生命身体への危険や財産への重大な損害のおそれ、③急を要する、という3つの要件を充足した場合に限られ、かつ取り得る措置も、船舶の停止や、危険行為の制止など、限定列挙されている。
 本来、人に対する強制処分は、裁判官の発する令状に基づかなければならないものであり、上記措置は、「令状主義」に対する緊急やむを得ない例外措置であって、その要件は厳格に解釈されなければならない。
 現在、海上保安庁が行っている海上での強制措置は、上記3要件を充足しておらず、また、船舶を転覆させる行為は海上保安庁法に規定されている強制的な措置の範囲を超えており、違法な行為であることは明らかである。
 なお、同条1項は、「犯罪が正に行われようとするのを認めた場合」にも、強制措置をとりうることを認めているが、市民らの抗議活動は正当な表現行為である上、本件抗議船は、既にエンジンを停止して動きを止めていたものであり、これを転覆させることまでを法が許容していないことは明らかである。
 したがって、このような違法行為については、告訴をし、厳しい処罰を求めていく。


3  そもそも、辺野古新基地建設に対する市民の活動は、憲法上認められた表現の自由の行使の一環でもある。特に政治的表現の自由は、民主主義社会の根幹をなす人権であることから、これに対する権力的な規制は抑制的でなければならない。
 私たちは、海上保安庁に対し、法の定める強制措置の際の厳格な要件を遵守し、かつ市民の政治的表現活動の自由に対して十分な配慮をなすよう、強く求める。

 

2015年5月1日

内閣総理大臣 安倍晋三 殿
国土交通省大臣 太田昭宏 殿
海上保安庁長官 佐藤雄二 殿
第11管区海上保安部 御中

                                        基地の県内移設に反対する県民会議
                                          共同代表 山城博治
                                        ヘリ基地反対協議会
                                          代 表 安次富 浩
                                        辺野古新基地建設反対弁護団
                                        代 表 池宮城 紀夫

2015年05月22日(金)

当事務所の弁護士加藤裕がTBS RADIOに出演しました!

 

3月25日(水),当事務所の弁護士加藤裕がTBS RADIO「荻上チキSession」に出演しましたのでお知らせいたします。

テーマは,「辺野古移設,法廷闘争になったらどうなる?」

番組のURLは以下のとおりです。

サイト内のポッドキャスティングで視聴可能です(視聴期限有)。

http://www.tbsradio.jp/ss954/2015/03/2015325-1.html

 

2015年03月26日(木)

辺野古埋立承認取消訴訟について-訴訟経過報告と沖縄県知事選挙-

 

弁護士 白     充

1 はじめに-新基地建設は「承認」できません
  2013年12月27日、沖縄県仲井真弘多知事は、国がした辺野古沿岸部の公有水面埋立て申請を承認した。この承認は、沖縄県知事が歴史上初めて、沖縄での新基地建設を「承認」したものであった。
  しかし、県知事が埋立てを承認したとしても、沖縄県民が新基地建設を承認した訳ではない。
辺野古周辺住民を含む194名の住民は、県を被告(相手方)として、仲井真知事がなした公有水面埋立承認処分(以下、「本件処分」という。)の取消しと、本件処分の効力の停止を求め、取消訴訟及び執行停止(以下、まとめて「本件訴訟」という場合がある。)を提起した。現在、原告は計687名である。
  2014年9月10日は、本件訴訟の第3回口頭弁論期日が開かれた。
  ここでは、これまでの訴訟の経過を、簡単に報告したいと思う。

2 訴訟の経過-県の従来の立場と矛盾する主張
  これまでの経緯及び双方の主張の概要は、下の表のとおりである。
(1)本案訴訟
  県は、本件承認の処分性と、原告らの原告適格を否定した。
県が原告適格を争点としてくることは想定内であったが、県が処分性についてまで争点としたのは意外であった。県としては、①原告適格を否定する以上、原告への影響そのものが無いことを前提とすべきではないか、という論理性の問題もさることながら、②さすがに辺野古漁民の原告適格を否定することはできず、また、本案判断に持ち込まれると不利な面もあるので、処分性を争点としておきたい、という、いわば危機感の問題という2つの面から、処分性を争うことにしたものではないかと、個人的には考えている。
  今回の第3回口頭弁論期日では、原告適格について、公有水面埋立法や環境影響評価法の解釈から、「埋立又はその後の施設利用により、生命、身体、生活環境(生活環境に密接に関連する財産、生態系含む)に係る著しい被害を直接的に受けない利益」を有する者については、原告適格が認められることを主張した。今後、住民らに生じる個別具体的な損害(騒音被害等)について、順次主張する予定である。
(2)執行停止
  執行停止申立てに対する県の主張は、概要、次のとおりである。
  <普天間飛行場周辺住民は、基地の存在によって日々あらゆる危険にさらされている。しかし、執行停止決定が出ると、辺野古への移設が進まず、普天間飛行場の危険性は固定化されるため、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」がある。他方、辺野古沿岸部に基地ができることにより、辺野古住民が被る騒音等の不利益は、金銭賠償等で解決できるため、「重大な損害」とはいえず、前記「公共の福祉」に比べても弱いものである。したがって、執行停止は、その要件を満さない。>
  これに対し、住民側は、<普天間基地周辺に生じている危険は移設によってどうにかしなければいけないけれど、辺野古周辺に生じている危険は金銭賠償等によって解決できるというのは、矛盾している。あるいは、辺野古を軽視している。>と主張した。
  また、住民側は、この主張が従来の県の主張とも矛盾していることを指摘した。すなわち、仲井真県知事は、2013年11月1日の定例記者会見において、普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古沿岸部の埋め立てを知事が承認しなければ、普天間が固定化するとの考えが政府内にあることについて、「固定化という発想、言葉が出てくるのは一種の堕落だ」、「(役人が)固定化と軽々言うのは自分が無能だと表現することだ。重要なポストに置くべきではない」と述べているのである。
  「辺野古に移設がされなければ、普天間基地は固定化する」
  この主張は、ほんの数ヶ月前に、県知事自身が批判したものであったが、今となっては、県がこの主張をするようになってしまったのである。
  今後は、原告適格論と並行して、住民らに生じる個別具体的な損害(騒音被害等)を指摘し、住民らに重大な損害が生じることを主張する予定である。

3 次回期日について-県知事選との関係
  次回期日は、2014年11月26日である。
  その約1週間前、同月16日には、沖縄県知事選が行われる。
  県知事選には、①辺野古移設推進を掲げる現職の仲井真知事、②辺野古移設反対を掲げる翁長元那覇市長、③辺野古移設の是非を問う住民投票を行うことを掲げる下地元郵政相、④辺野古移設「撤回」を掲げる喜納前民主党県連代表が立候補を表明している。
  ほんの数ヶ月で、自己矛盾する主張をし、辺野古新基地建設を承認する現職が選ばれるのか、それとも、これに反対する者が選ばれるのか。
  「今回の訴訟は、沖縄の民意を反映した訴訟である。」
  次回期日において、そう胸を張って言えるかどうかは、きたる県知事選の結果に委ねられているといっても過言ではないだろう。
  本件訴訟と共に、11月の沖縄県知事選にも、ご注目いただきたい。
以上

(※本稿は自由法曹団通信1504号に掲載されたものです)

 

辺野古 第一回期日

 

 

2014年10月28日(火)