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高江ヘリパッド建設に対する抗議声明

 

 2016年9月30日付で、沖縄県内の環境保護市民団体が、沖縄県東村高江において日本政府が進めているヘリパッド(オスプレイパッド)建設に対し、直ちに中止を求める「抗議声明」を発表しました。

 下記のとおり紹介します。

記 

2016年9月30日

内閣総理大臣安倍晋三様

内閣官房長官沖縄基地負担軽減担当菅義偉様

外務大臣岸田文雄様

防衛大臣稲田朋美様

環境大臣山本公一様

在沖米国総領事ジョエル・エレンライク様

 

抗議声明

高江ヘリパッド建設は重大な生活破壊・環境破壊である。直ちに建設を中止せよ。

 

 沖縄県東村高江集落を取り囲むように現在日本政府(沖縄防衛局)が建設を進めている米軍北部訓練場の6ヶ所のヘリパッドのうち既に完成し供用が開始されているN4地区の2ヶ所では、オスプレイが昼夜を問わず低空訓練飛行を繰り返しその騒音・低周波音は周辺住民に深刻な生活上の支障をもたらしている。残り4ヶ所を含めすべてのヘリパッドが完成し供用されるならば、高江集落住民に重大なる生活破壊をもたらすことは明らかである。

 米軍が2012年4月付で作成し、日本政府が同年6月に「仮訳」として公表した「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版(仮訳)」によれば、高江周辺のN4、N1、H、G地区の6カ所のヘリパッドのすべてがオスプレイの運用に特化した着陸帯の新設である。

 オスプレイの沖縄配備に関しては、2013年1月に沖縄の全ての市長村長と市町村議会議長がそろって上京し、反対の意思を表明している。にもかかわらずオスプレイ訓練のためのヘリパッド建設を強行することは沖縄の民意の許しがたい無視・蹂躙である。

 また高江を含むやんばるの森は世界自然遺産登録にも値する貴重な自然であり、私たちにはやんばるの森を完全な姿で未来世代に引き継ぐべく最大限の保全努力を払う責務がある。去る9月15日、日本政府はやんばるの森の一部をやんばる国立公園に指定したが、指定地域に北部訓練場が隣接し、その訓練場でオスプレイが高熱下降気流を吹き降ろしながら低空飛行するという状況の出現は、やんばるの環境保全の見地からは到底容認できない。加えて注目すべきなのは、2007年に沖縄防衛局が公開した自主アセスによれば建設中のN1、G、H地区の周辺はノグチゲラの巣穴が多数発見されている自然度の極めて高い地域であるという事実である。北部訓練場の全面返還を米国に求め、その全域を国立公園区域に編入することこそがやんばるの環境保全のために進むべき道である。

 ところが日本政府は、本年7月22日以降、全国から500人ともいわれる機動隊を投入し、抗議する住民や支援者を暴力的に排除し工事を強行している。法的根拠なきまま県道上のテントが撤去されたり、フェンスが張られたり、立木が無許可伐採されたり、報道陣の取材が妨害されたり、更には抗議する市民がロープで拘束されるといった無法状態が続いている。また、自主アセスでは環境への影響を低減するため1ヶ所ずつ着工するとしていたものを、その前言を翻し、N1、G、H地区の建設を一挙に進めることとし、民間のヘリさらには陸上自衛隊の大型輸送ヘリCH47まで導入して重機やトラックの搬入を行っている。自衛隊のヘリ投入は明らかに自衛隊法を逸脱する行為であり、沖縄県は自衛隊ヘリの使用の法的根拠を明らかにするよう求めたが、日本政府はこの要請を無視している。法治主義の放棄、説明責任の回避であり、私たちは日本政府に強く抗議する。

 更に許せないのは、世界最大の自然保護機関である国際自然保護連合(IUCN)の勧告を日米両国政府が一貫して無視していることである。IUCNは、やんばるのノグチゲラ、ヤンバルクイナに関して2000年と2004年の2回、その保全を求める勧告を日米両国政府に対して行っている。またIUCNは、本年8月30日に辺野古新基地建設に伴う県外土砂搬入の際に徹底した外来種混入防止対策を講じるよう日米両国政府に求める勧告を採択したが、両国政府はこの勧告の採決に際して棄権している。私たちは、自然保護を求める世界の声を無視し続ける日米両国政府に強く抗議する。

 このようなやんばるの森の破壊は、日本政府も批准する生物多様性条約及び世界遺産条約に明確に違反する。生物多様性条約は、第8条(生息地内保全)において、生物多様性の保全のための具体的な施策を行うことを義務付けていることからすると、条約の直接適用を受ける日本政府が積極的に生物多様性を破壊する事業を行うことは、明らかな条約違反となる。また、世界遺産条約は、4、5条で自然遺産の保護義務を定めており、これにより少なくとも遺産に被害を与える意図的措置をとることは禁じられている(6条3項,作業指針15条h)。なお、これは11条以下の登録手続の有無に関わりなく日本政府が負う義務である。日本政府(環境省)は、やんばるを自然遺産の価値がある(2条)と認めて登録を推進しているのであり、その日本政府(沖縄防衛局)が一方でやんばるの森を破壊することは、明らかな条約違反となる。

 とりわけ、日本政府は、2016年7月、2007年公開の自主アセスから工法を大幅に変更し、全長1.2キロの工事用モノレールの設置のための森林伐採を伴う方法に変更した。9月にはより大規模な伐採を伴う方法(幅3メートル、全長1.5キロのトラック通行用運搬道路)に変更したが、現場ではこの幅を更に大きく超えて伐採がなされている。このように、日本政府は正式な環境アセスメントの手続きを経ることなくあえて意図的に環境負荷のより大きい工法に変更して森林破壊を強行しているのであり、このような日本政府の行為は上記の2条約上絶対に正当化できるものではない。

 また安倍首相は、9月26日に開催された第192臨時国会の所信表明演説で、北部訓練場の北半分の返還を本土復帰後の最大の返還であり、「基地負担軽減」になると述べているが、これは全くのまやかしである。返還予定の北半分は米軍が「使用不可能」としている場所であり、首相の言う「北半分の返還で沖縄の未来を切り開いていく」というのは、やんばるに暮らす人々の人権と生き物たち自然の権利の冒涜であり圧殺宣言である。

 私たち、沖縄の環境保護市民団体は、重大な生活破壊・環境破壊をもたらす日本政府(沖縄防衛局)の無法な高江ヘリパッド建設強行に強く抗議し、ただちに中止するよう求める。

 

泡瀬干潟を守る連絡会

沖縄環境ネットワーク

沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団

奥間川流域保護基金

ジュゴンネットワーク沖縄

ジュゴン保護キャンペーンセンター

第33回日本環境会議沖縄大会実行委員会

ダイビングチーム・レインボー

高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会

日本科学者会議沖縄支部

日本森林生態系保護ネットワーク

ヘリ基地いらない二見以北十区の会

ヘリパッドいらない住民の会

辺野古・高江を守ろう!NGOネットワーク

やんばるDONぐりーず

やんばるの自然を歩む会

琉球諸島を世界自然遺産にする連絡会

(アイウエオ順)

 

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2016年10月14日(金)

 

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