みなさまと共に歩んで半世紀

お知らせ

 

やんばるの世界自然遺産登録と残る課題

 

1 やんばるの世界自然遺産登録
2021年7月、やんばる地域(沖縄県北部)の一部が世界自然遺産に登録されました。
鹿児島県南部から沖縄にかけてつながる琉球諸島は、かつて大陸の一部だったため、そのころ渡ってきた生物が、その後大陸と切り離される過程でそれぞれの島に閉じ込められ、独自の進化を遂げ、それぞれの島にしか生息しない生物(固有種)が多く暮らしています。温暖な黒潮の影響や季節風(モンスーン)の影響から亜熱帯海洋性気候のさまざまな生態系が見られるのも特徴です。
今年世界自然遺産登録が決まった地域は、奄美大島、徳之島、沖縄島北部(やんばる)と西表島の一部です。琉球諸島は小さな島の集まりで、それぞれの島の生態系は人的な影響により多くが失われてしまい、現在でも固有種が比較的多く残る4か所が選定されました。

 

2 残る課題~生態系を脅かす要因~
やんばるでは限られた地域しか世界自然遺産登録の対象になっていないため、登録後も課題が多くあります。
生態系を脅かす要因の一つは米軍基地(北部訓練場)の存在で、2016年にはその約半分が返還されましたが、残りの半分が訓練に利用されています。返還された地域も、長年の米軍の演習によるさまざまな汚染が残っています。

もう一つは、大型公共事業の影響で、現在でも森林伐採や造林などの林業名目の開発が行われています。
2017年、沖縄県民の有志が、補助金の一部を負担した沖縄県を相手として、「第3次命の森やんばる訴訟」(違法公金支出金返還等請求事件)を提起しました。これは、2016年に沖縄振興の名目で国が負担する一括交付金という制度を使って、生物多様性豊かなやんばる本来の森林が大規模に伐採され、日本一大きなどんぐりの実をつけるオキナワウラジロガシの大木や、ノグチゲラの営巣が可能なイタジイの大木も伐採されたことについて、その違法性を問う裁判でした。

この裁判では、少なくとも50年から60年はほとんど人の手が入っていない森林が「耕作放棄地」であるとして伐採されました。沖縄県からは「機能回復整備事業」という名目で補助金が支出されており、補助金の要件に該当しない上に、沖縄県が事前に十分な現地調査もせずに伐採を進めていたことも裁判の中で明らかになっていました。

しかし、昨年10月の那覇地方裁判所の判決は、伐採現場の検証(現地視察)や証人尋問を却下して、補助金の要件該当性について補助金交付の根拠法令をきちんと検討しないまま適法な支出であったと判断したので、現在控訴審が続いています。

伐採現場は、世界自然遺産登録にも、またやんばる国立公園にも入っていない場所でしたが、伐採現場から数十メートルの場所でもヤンバルクイナやリュウキュウイノシシのほか多くの動植物が確認されています(私たちの自然保護団体「やんばるDONぐりーず」のホームページFacebookでも映像が見られますので、ぜひご覧ください。)。

この裁判を通して、世界自然遺産登録の地域から離れた集落から比較的近い場所でもやんばる本来の森林が残っていることや、そのような場所では今後も自然破壊が進む可能性があることがより一層明らかになりました。
森林伐採以外にも、やんばるはダムにより河川が分断された場所が多く、世界自然遺産登録の決議の中でも、森林伐採のほか、河川再生が必要なことも指摘されています。

 

3 さいごに
私たちの活動もコロナ禍の中で困難な点も多いのですが、やんばるの自然を保護して、次の世代に引き継いでいくことができるよう、取組みを続けたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

弁護士 喜多 自然

(写真は自動撮影カメラで撮影されたヤンバルクイナ)

2022年02月16日(水)

10/26シンポジウム「やんばるを真の世界自然遺産に 第2回」のご案内

 

 当事務所の弁護士喜多と弁護士赤嶺が共同代表を務めるやんばるDONぐり~ずは、沖縄環境ネットワークと共催で下記のシンポジウムを開催することになりました。ぜひご参加下さい。

 

『やんばるを真の世界自然遺産に 第2回』

 日時:2019年10月26日(土)14:00~17:00

 場所:沖縄大学2号館213教室

   (校内の駐車場はご利用できません。公共交通機関等を利用してお越し下さい。)

 料金:500円(資料代)

 講師:金井塚 務(広島フィールドミュージアム代表)

    宮城秋乃(日本鱗翅学会・日本蝶類学会会員)

    桜井国俊(沖縄大学名誉教授・沖縄環境ネットワーク世話人)

 連絡先:川満(090-1946-3181)

 

環境ネットワーク学習会第2回

2019年10月04日(金)

2019年度の国頭村での森林伐採に対する抗議声明を発表しました

 

 当事務所の弁護士喜多と弁護士赤嶺が共同代表を務めるやんばるDONぐり~ずは、2019年10月1日に、県内外の環境保護団体・個人有志とともに、①現在進行中の伐採を直ちに中止すること②今後、森林の伐採を行わず、保全・保護のため、保護区の拡大を含めるあらゆる方策をとること、という趣旨の抗議声明を発表し、次の宛先に抗議声明を発送しました。

 

〇送付先

環境省環境大臣、那覇自然環境事務所、林野庁長官、沖縄県森林管理署、沖縄県知事、沖縄県議会議員、国頭村長、国頭村議、大宜味村長、大宜味村議、東村長、東村議、国頭村森林組合、沖縄タイムス、琉球新報

 

 また、ICUN(国際自然保護連合)が今月やんばるの調査に入ることになっていることから、ICUNに英文で提出します。

 

 抗議声明の本文を下記に貼り付けます。


抗 議 声 明

2019年10月1日

関  係  者  各位

 

抗議声明の趣旨

 

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとともに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず,保全・保護のため,保護区の抜本的見直し(拡大)を含めあらゆる方策をとること

 

抗議声明の理由

 

1 やんばる地域では,毎年大規模な森林伐採が行われている。やんばる国立公園が指定された2016年度以降を見ても,毎年10ヘクタール近い面積が伐採されており【添付資料1】,その多くが,皆伐という草木をすべて伐採して山を丸裸にする方法により伐採されている。森林伐採に当たっては科学的な調査は一切なされておらず,伐採の都合のみが優先されており,やんばるの中でも中核となるべき場所も伐採の対象となっている。2019年度も森林伐採が行われているのが現状である。

 このような森林伐採は,直ちに中止されなければならない。

2 本来やんばるの生態系・生物多様性の保護を担保すべきやんばる国立公園が機能していないことが,このような森林伐採が行われる一因となっている。

 やんばる地域における保全・保護の対策が不十分であること,とくに「やんばる国立公園」は保護区の区分けが生態学的知見に基づかない恣意的なものであり,保護担保措置として機能していないことは,2016年3月23日付意見書「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」,2017年3月21日付意見書「やんばる地域の世界遺産登録について」などで指摘したところである。結果として,やんばる国立公園は,個体群の孤立化と分断を招き,生物多様性を毀損するものとなっている。この点は,北部訓練場の返還後のやんばる国立公園の拡張によってもなお解消されていない。

 森林伐採の多くは,やんばる国立公園の第2種,第3種特別地域に該当する地域での伐採である。第2種,第3種特別地域に該当する地域も,やんばる地域の生態系・生物多様性を維持する上で必要不可欠な地域である。希少・固有種が個体群として維持されるために必要な範囲を科学的に検討し,保護区の区分けを抜本的に見直し(拡大)をすべきである。

3 現在,やんばる地域では世界自然遺産登録のための手続きが進められているが,やんばる国立公園の保護区を前提とする日本政府の推薦書の内容には問題がある。

 日本政府は,2019年2月,やんばる地域を含む「奄美大島,徳之島,沖縄島北部及び西表島」地域について,世界遺産条約に基づく世界遺産一覧表への記載に向けて,ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出した。

 しかし,その内容は,森林伐採への言及を避け,その影響を無視したものとなっている。

 推薦書においては,「資産への影響要因」(4.b)のうち「開発圧力」(179頁)の項目として,「河川・ダム整備」「外来種」及び「遺伝的撹乱」のみが挙げられている。「河川・ダム整備」という,現在ほとんど開発計画がない項目を挙げつつ,大規模な開発圧力である森林伐採に一切言及しないのは,やんばる地域の現状を適切に評価したものとは到底いえない。

 また推薦書付属資料においても,「推薦地の保護措置に適用される計画」(付属資料5)として多数の計画が挙げられているものの,森林伐採の根拠となっている2013年10月付け「やんばる型森林業の推進」については付属資料から除外されている。

 そして,保護措置に言及した箇所(5.c.1)では,「緩衝地帯は,国立公園の第2種特別地域やその他の地種区分に基づく規制や,やんばる型林業等の自主ルールの組み合わせによって,必要な利用規制や開発制限が行われている。」(222頁)と記載されているが,それが事実ではないことは上記で指摘したとおりである。

4 行政は,やんばるの森林の保全・保護のため,やんばる国立公園の保護区の区分けの抜本的見直し(拡大)を含め,あらゆる方策をとり,真に効果的な世界自然遺産登録を目指すべきである。

 

【添付資料】

1 2016年度~2019年度 伐採地一覧表

2 辺戸の伐採地の写真(2019年9月撮影)

 

 

 

      日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE JAPAN)

              代  表   金 井 塚       務

      やんばるDONぐり~ず

              共同代表   喜   多   自   然

                     赤   嶺   朝   子

              顧  問   平   良   克   之

      NPO法人・奥間川流域保護基金

              代  表   伊   波   義   安

      琉球諸島を世界自然遺産にする連絡会

              世 話 人   伊   波   義   安

      沖縄環境ネットワーク

世 話 人   桜   井   国   俊

      泡瀬干潟を守る連絡会

共同代表   小橋川 共 男

同      漆谷克秀

      日本鱗翅学会員 蝶類研究者  宮   城   秋   乃

      

               (連絡先) 沖縄県那覇市松尾2-17-34

                           沖縄合同法律事務所

                     弁護士  喜  多  自  然

                     弁護士  赤  嶺  朝  子

電話098-917-1088

FAX098-917-1089


2016年度~2019年度 森林伐採一覧表P9150529 P9150540 P9150527 P9150528

2019年10月01日(火)

宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書に対する抗議声明

 

 宮古島市が宮古島ごみ問題住民訴訟を提起した宮古島市住民の原告6名に対し、損害賠償請求の訴え提起を求める議案書を宮古島市議会に提出している問題で、本日、宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団は、高江弁護団、識名トンネル住民訴訟弁護団、石垣市教科書問題住民訴訟弁護団、やんばる命の森第3次住民訴訟弁護団と共同で記者会見を開き、抗議声明を発表しました。

 

「宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書に対する抗議声明」

1 去る9月3日、宮古島市は、宮古島ごみ問題住民訴訟を提起した宮古島市住民6名に対し、当該住民らが訴訟手続や新聞報道において、虚偽の事実を繰り返し続け、宮古島市の名誉を毀損したとして、1100万円の損害賠償請求の訴えを提起を求める議案書を議会に提出した。

2 しかしながら、本来、地方公共団体は、住民主権(住民自治)や民主主義の原理の下にあり、その行政活動等の公的行動は主権者である住民の不断の批判と監視の下に置かれている。民主主義社会においては、マスコミも含め、住民が市や市政に対し、自由に批判することが不可欠であり、市や市政を批判する住民に対し、市が訴訟提起しようとすることは、住民を恫喝、威嚇するもので、住民の表現の自由や知る権利を侵害し、民主主義の破壊に繋がるもので断じて許されない。

 この点について、行政の事業に不正があるとの趣旨の番組を放映した番組制作会社等に対し、当該地方公共団体が、名誉毀損に該当するとして、損害賠償請求等訴訟を提起した事案において、東京高等裁判所は、2003年2月19日判決において、上記と同様の趣旨を述べた上で、地方公共団体に対する名誉毀損が認められる場合はあっても、地方公共団体と当該住民との間では名誉毀損は制度上予定されておらず、成立の余地はないと判断した。

 また、上記判決は、首長その他地方公共団体の個々の機関に対する表現行為が名誉毀損に該当する場合であっても、同時に当該地方公共団体の社会的評価を低下させるものでない限り、地方公共団体に対する名誉毀損には当たらないと判示しており、名誉毀損の成否に関し、行政の機関そのものと当該地方公共団体それ自体とでは明確に区別する判断を示した。

 上記判決でも示されているとおり、宮古島市住民は市及び市政を自由に批判できるのが当然であり、宮古島市と宮古島市の住民との間では名誉毀損は成立しえないものである。

 

3 ところで、発端となった宮古島ごみ問題住民訴訟は、宮古島市が業者との間で市内3か所の不法投棄ごみを撤去し原状回復をする内容の業務を委託する契約(以下、本件契約という)を締結し、代金を支払ったものの、その後対象となった不法投棄ごみの現場に大量のごみが残存することが発覚し、宮古島市が当初行った「ごみゼロ宣言」も撤回するに至った件について、委託料を合計2251万円とする本件契約が宮古島市に過大な経費負担を与える違法な財務会計行為であること等を主張して市民が提訴した住民訴訟である。

 大量のごみが残存することが発覚した後、宮古島市議会に設置された不法投棄ごみ残存問題調査特別委員会でその違法性が厳しく指摘された。ごみは現在も現場に残存したままである。

 住民訴訟では、住民らの請求は退けられたものの、判決では契約の履行確保のための監督・検査については、「きわめて杜撰な事務処理であるとの誹りを免れない」と指摘された。

 また、大量のごみが残存することが発覚した後、本件契約を担当していた宮古島市の職員が、計量票の改ざんなどを行った。同職員は、虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴され、有罪判決が下され、同判決は確定した。

 そもそも、住民訴訟は、財務会計上の違法な行為等が究極的には当該地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるところから、これを防止するため、地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として、住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え、もつて地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであって、財務会計上の行為等の適否ないしその是正の要否について地方公共団体の判断と住民の判断とが相反し対立する場合に、住民が自らの手により違法の防止又は是正をはかることができる点に、制度の本来の意義がある(最高裁判所1978年3月30日判決参照)。

 宮古島ごみ問題住民訴訟は行政の財務会計上の適正化がまさに問題となる事案であり、市民は参政権の一種として訴訟提起し、判決でも稚拙な事務処理であると指摘されたのである。

 住民訴訟の原告であった宮古島市の住民6名は、財務会計行為の違法可能性の追及と不適切な行政行為への批判をしたにすぎないのである。

 

4 それにもかかわらず、宮古島ごみ問題住民訴訟の原告に対し、同市が名誉毀損損害賠償請求訴訟を提起するということは、市政を批判する住民に対し恫喝、弾圧目的とする裁判であることは明らかである。

 住民運動に対する恫喝、弾圧目的とする裁判は、スラップ(SLAPP)訴訟と呼ばれる。それは、Strategic Lawsuit Against Public Participation(市民参加を阻害するための戦略的な訴訟)の頭文字をとったもので、「公衆の関心事について表現の自由を行使した者に対して起こされた戦略的訴訟」という意味である。権力を持っている者が、市民を相手として、自らに批判的な意見や運動を弾圧する目的でなされる訴訟である。

 スラップ訴訟は、表現の自由の保障された社会にとって、重大な脅威となる。裁判を起こされた場合、肉体的、精神的な苦痛といった負担や、経済的な負担が生じる。スラップ訴訟は、相手方にそのような負担を強いる、つまり苦痛を与えることを目的とし、結果的に、相手方が恐怖心から今後反対運動から手をひくこと、つまり萎縮させることを目的としているのである。

 アメリカでは、表現の自由を守るため、多くの州でスラップ訴訟を規制する法律がある。日本でも、著しく相当性を欠く訴えの提起は訴権の濫用として違法になる(不当訴訟)。例えば、高知地方裁判所は、2012年7月31日、高知県黒潮町が、町議が発行した広報誌に町政を批判した記事が同町の名誉毀損に当たるとして当該町議に対し損害賠償を請求した訴訟について、不当訴訟に当たる判断し、同町に当該町議に対し損害賠償金を支払うよう命じた(2019年9月10日付沖縄タイムス参照)

 宮古島市議会がこのような訴訟提起を許すこととなれば、住民訴訟の原告のみならず、宮古島市の住民が行政を批判することを自己規制する可能性があり、民主主義の原理を損ねる結果を招くことにもなり、不当訴訟に該当する。

 

5 以上のとおり、上記議案書提出は民主主義を破壊するもので、また、宮古島市に対する名誉毀損も成立しえない。加えて、住民の表現の自由を威嚇するスラップ訴訟に該当し、訴訟提起することになれば、逆に反訴等により、宮古島市が損害賠償責任を負う可能性もある。

 我々は、住民訴訟において、住民側の代理人としてこれまで関与し、現に関与している弁護団であるが、宮古島市の今回の議案書提案につき、住民訴訟上看過しえない重大な問題が存することに鑑みて、敢えて本声明を公表するとともに、議案書を提出した宮古島市当局に対しては抗議と議案書の撤回を求めるとともに、仮に撤回されなければ、議会においては速やかに否決することを強く求めるものである。

2019年9月12日

 

                       宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団

高江弁護団

識名トンネル住民訴訟弁護団

石垣市教科書問題住民訴訟弁護団

やんばる命の森第3次住民訴訟弁護団

2019年09月12日(木)

国頭村での森林伐採に対する抗議声明

 

 

 当事務所の弁護士喜多と赤嶺が共同代表を、弁護士下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、2018年4月3日に、県内外の環境保護団体・個人とともに、国頭村内で行われている森林伐採について抗議声明を発表し、次の宛先に抗議声明を発送しました。

〇送付先

・国頭村長 ・国頭村議会議長 ・国頭村森林組合代表理事組合長 ・沖縄県知事

・環境省環境大臣 ・林野庁長官 ・那覇自然環境事務所 ・沖縄森林管理署 ・沖縄県議会

・大宜味村長 ・大宜味村議会 ・東村長 ・東村議会

 

 抗議声明の本文を下記に貼り付けます。

抗議声明

抗議声明の趣旨

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとともに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること

抗議声明の理由

1 環境省及び沖縄県は,やんばる地域の世界遺産登録を目指す立場を明確にしている。環境省は,2016年9月15日,国内33箇所目の国立公園として,沖縄島北部地域を「やんばる国立公園」として新たに指定した。これは世界遺産登録をにらんでのことだという。

 また,政府は,2017年2月2日までに,「奄美大島,徳之島,沖縄島北部および西表島」の世界遺産登録への正式推薦書をユネスコ本部に提出した。

2 他方,国頭村内では,現在,下記の3か所において伐採が行われている。その伐採は,皆伐という,草木を全て伐採して山を丸裸にする方法を採っている。

①字楚洲・我地原811-2 1.72ha

②字宜名真・吉波山1284-1 2.68ha

③字宇良・与俣原317-15 約0.58ha

 このうち②字宜名真の伐採地は,国立公園の第3種特別地域(1.38ha)が含まれている。国立公園内において1.38haという広範囲が皆伐されているという事実は,国立公園の指定が,やんばるの自然保護に十分な有効性を発揮していないことを示している。

3 やんばるは,世界自然遺産登録条件のうち、「生態系」及び「生物多様性」の項目に該当する可能性があるとされている。

 しかし,皆伐が行われ続けると,上記登録基準に非該当とされ,登録が困難になることは明らかである。

4 やんばる地域の世界自然遺産登録を目指している環境省,沖縄県及び国頭村が,このような事態を容認・放置するのは,行政として矛盾した対応である。

 世界遺産登録は,やんばるに世界的な注目を集め,集合知をもってその発展を模索する契機となりうる。持続可能性を無視して自然を利用し続けること及び人間が生活して富を得るための代償であるならばやむを得ないという態度を再考し,国頭三村が森林の保全・保護と経済的自立を両立する機会として利用すべきである。

 我々は,環境省,沖縄県及び国頭村に対し,世界遺産登録という方向性に沿い,やんばるの自然をこれ以上破壊せず,保全・保護する方策を採るよう提言する。

 

国頭村宜名真の伐採地

2017.11.12 伐採地(楚洲)

 

国頭村楚洲の伐採地

2017.11.12 伐採地(宜名真)

 

やんばるDONぐり~ずホームページ

https://yanbarudonguri.localinfo.jp/

2018年04月16日(月)

意見書~やんばる地域の世界遺産登録について意見書~

 

 当事務所の弁護士喜多と赤嶺が共同代表で、弁護士下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE JAPAN)と連名で、2017年3月21日に「意見書~やんばる地域の世界遺産登録について~」を発表し、同日、世界自然遺産登録に関して調査・評価を行うIUCN(国際自然保護連合)に同意見書を送りました。

 

意見書1頁

↑の画像をクリックするとPDFで全文がみられます

2017年03月23日(木)

国頭村での平成28年度森林伐採に対する抗議声明

 

 当事務所の喜多と赤嶺が共同代表、下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE Japan)等の自然保護団体有志とともに、国頭村森林組合による平成28年度の森林伐採に対して、「①国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること ②今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること」を求め、2017年2月22日に抗議声明を発表しました。

 抗議声明は、国頭村森林組合、国頭村、沖縄県知事、環境大臣、林野庁長官等に送付しました。

 以下、抗議声明の全文です。

 

 

抗議声明

2017年2月22日

関  係 者 各 位

抗議声明の趣旨

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとと もに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること

抗議声明の理由

1 環境省及び沖縄県は,やんばる地域の世界遺産登録を目指す立場を明確にしている。環境省は,2016年9月15日,国内33箇所目の国立公園として,沖縄島北部地域を「やんばる国立公園」として新たに指定した。これは世界自然遺産への登録をにらんでのことだという。

 また,政府は,2017年2月2日までに,「奄美大島,徳之島,沖縄島北部および西表島」の世界遺産登録への正式推薦書をユネスコ本部に提出した。

 

2 他方,国頭村内では,現在,下記の3か所において伐採が行われている。その伐採は,皆伐という,草木を全て伐採して山を丸裸にする方法を採っている。

 1.字謝敷・智津気山1249―1     4.96

 2.字辺土名・内間1094―393    1.50

 3.字宇良・与俣原317―15      2.40

 このうち①字謝敷の伐採地は,国立公園の第2種特別地域に該当する。国立公園内において4.96haという広範囲が皆伐されているという事実は,国立公園の指定が,やんばるの自然保護に十分な有効性を発揮していないことを示している。

 

3 やんばるは,世界自然遺産登録条件のうち、「生態系」及び「生物多様性」の項目に該当する可能性があるとされている。

 しかし,皆伐が行われ続けると,上記登録基準に非該当とされ,登録が困難になることは明らかである。

 

4 やんばる地域の世界自然遺産登録を目指している環境省,沖縄県及び国頭村が,このような事態を容認・放置するのは,行政として矛盾した対応である。

 世界遺産登録は,やんばるに世界的な注目を集め,集合知をもってその発展を模索する契機となりうる。持続可能性を無視して自然を利用し続けること及び人間が生活して富を得るための代償であるならばやむを得ないという態度を再考し,国頭三村が森林の保全・保護と経済的自立を両立する機会として利用すべきである。

 我々は,環境省,沖縄県及び国頭村に対し,世界遺産登録という方向性に沿い,やんばるの自然をこれ以上破壊せず,保全・保護する方策を採るよう提言する。

 

抗議声明表紙 別紙

画像をクリックするとPDFで抗議声明と添付資料をご覧いただけます

2017年02月23日(木)

7月1日開催シンポジウム「命の森やんばるをいかに守るか~『やんばる国立公園』案を検証する~」のお知らせ

 

シンポジウムのお知らせです。

当事務所の弁護士喜多と赤嶺が共同代表を務める「やんばるDONぐり~ず」と「NPO法人 奥間川流域保護基金」の共催で、下記のシンポジウムを開催することになりました。

 

 

「命の森やんばるをいかに守るか~『やんばる国立公園』案を検証する~」
日時:2016年7月1日(金)18:30~
場所:てぃるる2階会議室(沖縄県男女共同参画センター、那覇市西3-11-1)
共催:やんばるDONぐり~ず、NPO法人奥間川流域保護基金
★参加費無料★

問い合わせは当事務所まで 098-917-1088

 

2016年7月1日やんばるシンポチラシ

 

2016年06月13日(月)

意見書「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」の報道について

 

 2016年3月23日に、やんばるDONぐり~ず(当事務所の喜多と赤嶺が共同代表)や日本森林生態系保護ネットワーク等が連名で「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」という意見書を発表しました。

 このことが、翌日(3月24日)の沖縄タイムスと琉球新報で紹介されました。記事のリンクを下に貼り付けます。また、琉球新報では英語版HPにも記事が紹介されました。

 

沖縄タイムス 2016年3月24日「やんばる国立公園「狭すぎる」 環境団体が意見書」 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=160043

琉球新報 2016年3月24日『やんばる国立公園 特別保護区「狭い」 自然団体、再考促す』 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-244494.html

 

琉球新報 英語版HP

Environmental groups say plan for Yambaru National Park conservation area falls short March 24, 2016 Ryukyu Shimpo

http://english.ryukyushimpo.jp/2016/03/30/24740/

2016年04月01日(金)

やんばる地域の国立公園化計画の問題点

 

 今月、環境省は沖縄本島北部のやんばる地域を国立公園化する方針を発表しました。

 これに対し、当事務所の弁護士喜多と弁護士赤嶺が共同代表を務める自然保護団体・やんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク等と連名で、「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」という意見書を発表しました。

 意見書は、関係省庁、沖縄県、関係自治体に送付します。

意見書1ページ目

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2016年03月23日(水)