みなさまと共に歩んで半世紀

お知らせ

 

10/26シンポジウム「やんばるを真の世界自然遺産に 第2回」のご案内

 

 当事務所の弁護士喜多と弁護士赤嶺が共同代表を務めるやんばるDONぐり~ずは、沖縄環境ネットワークと共催で下記のシンポジウムを開催することになりました。ぜひご参加下さい。

 

『やんばるを真の世界自然遺産に 第2回』

 日時:2019年10月26日(土)14:00~17:00

 場所:沖縄大学2号館213教室

   (校内の駐車場はご利用できません。公共交通機関等を利用してお越し下さい。)

 料金:500円(資料代)

 講師:金井塚 務(広島フィールドミュージアム代表)

    宮城秋乃(日本鱗翅学会・日本蝶類学会会員)

    桜井国俊(沖縄大学名誉教授・沖縄環境ネットワーク世話人)

 連絡先:川満(090-1946-3181)

 

環境ネットワーク学習会第2回

2019年10月04日(金)

2019年度の国頭村での森林伐採に対する抗議声明を発表しました

 

 当事務所の弁護士喜多と弁護士赤嶺が共同代表を務めるやんばるDONぐり~ずは、2019年10月1日に、県内外の環境保護団体・個人有志とともに、①現在進行中の伐採を直ちに中止すること②今後、森林の伐採を行わず、保全・保護のため、保護区の拡大を含めるあらゆる方策をとること、という趣旨の抗議声明を発表し、次の宛先に抗議声明を発送しました。

 

〇送付先

環境省環境大臣、那覇自然環境事務所、林野庁長官、沖縄県森林管理署、沖縄県知事、沖縄県議会議員、国頭村長、国頭村議、大宜味村長、大宜味村議、東村長、東村議、国頭村森林組合、沖縄タイムス、琉球新報

 

 また、ICUN(国際自然保護連合)が今月やんばるの調査に入ることになっていることから、ICUNに英文で提出します。

 

 抗議声明の本文を下記に貼り付けます。


抗 議 声 明

2019年10月1日

関  係  者  各位

 

抗議声明の趣旨

 

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとともに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず,保全・保護のため,保護区の抜本的見直し(拡大)を含めあらゆる方策をとること

 

抗議声明の理由

 

1 やんばる地域では,毎年大規模な森林伐採が行われている。やんばる国立公園が指定された2016年度以降を見ても,毎年10ヘクタール近い面積が伐採されており【添付資料1】,その多くが,皆伐という草木をすべて伐採して山を丸裸にする方法により伐採されている。森林伐採に当たっては科学的な調査は一切なされておらず,伐採の都合のみが優先されており,やんばるの中でも中核となるべき場所も伐採の対象となっている。2019年度も森林伐採が行われているのが現状である。

 このような森林伐採は,直ちに中止されなければならない。

2 本来やんばるの生態系・生物多様性の保護を担保すべきやんばる国立公園が機能していないことが,このような森林伐採が行われる一因となっている。

 やんばる地域における保全・保護の対策が不十分であること,とくに「やんばる国立公園」は保護区の区分けが生態学的知見に基づかない恣意的なものであり,保護担保措置として機能していないことは,2016年3月23日付意見書「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」,2017年3月21日付意見書「やんばる地域の世界遺産登録について」などで指摘したところである。結果として,やんばる国立公園は,個体群の孤立化と分断を招き,生物多様性を毀損するものとなっている。この点は,北部訓練場の返還後のやんばる国立公園の拡張によってもなお解消されていない。

 森林伐採の多くは,やんばる国立公園の第2種,第3種特別地域に該当する地域での伐採である。第2種,第3種特別地域に該当する地域も,やんばる地域の生態系・生物多様性を維持する上で必要不可欠な地域である。希少・固有種が個体群として維持されるために必要な範囲を科学的に検討し,保護区の区分けを抜本的に見直し(拡大)をすべきである。

3 現在,やんばる地域では世界自然遺産登録のための手続きが進められているが,やんばる国立公園の保護区を前提とする日本政府の推薦書の内容には問題がある。

 日本政府は,2019年2月,やんばる地域を含む「奄美大島,徳之島,沖縄島北部及び西表島」地域について,世界遺産条約に基づく世界遺産一覧表への記載に向けて,ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出した。

 しかし,その内容は,森林伐採への言及を避け,その影響を無視したものとなっている。

 推薦書においては,「資産への影響要因」(4.b)のうち「開発圧力」(179頁)の項目として,「河川・ダム整備」「外来種」及び「遺伝的撹乱」のみが挙げられている。「河川・ダム整備」という,現在ほとんど開発計画がない項目を挙げつつ,大規模な開発圧力である森林伐採に一切言及しないのは,やんばる地域の現状を適切に評価したものとは到底いえない。

 また推薦書付属資料においても,「推薦地の保護措置に適用される計画」(付属資料5)として多数の計画が挙げられているものの,森林伐採の根拠となっている2013年10月付け「やんばる型森林業の推進」については付属資料から除外されている。

 そして,保護措置に言及した箇所(5.c.1)では,「緩衝地帯は,国立公園の第2種特別地域やその他の地種区分に基づく規制や,やんばる型林業等の自主ルールの組み合わせによって,必要な利用規制や開発制限が行われている。」(222頁)と記載されているが,それが事実ではないことは上記で指摘したとおりである。

4 行政は,やんばるの森林の保全・保護のため,やんばる国立公園の保護区の区分けの抜本的見直し(拡大)を含め,あらゆる方策をとり,真に効果的な世界自然遺産登録を目指すべきである。

 

【添付資料】

1 2016年度~2019年度 伐採地一覧表

2 辺戸の伐採地の写真(2019年9月撮影)

 

 

 

      日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE JAPAN)

              代  表   金 井 塚       務

      やんばるDONぐり~ず

              共同代表   喜   多   自   然

                     赤   嶺   朝   子

              顧  問   平   良   克   之

      NPO法人・奥間川流域保護基金

              代  表   伊   波   義   安

      琉球諸島を世界自然遺産にする連絡会

              世 話 人   伊   波   義   安

      沖縄環境ネットワーク

世 話 人   桜   井   国   俊

      泡瀬干潟を守る連絡会

共同代表   小橋川 共 男

同      漆谷克秀

      日本鱗翅学会員 蝶類研究者  宮   城   秋   乃

      

               (連絡先) 沖縄県那覇市松尾2-17-34

                           沖縄合同法律事務所

                     弁護士  喜  多  自  然

                     弁護士  赤  嶺  朝  子

電話098-917-1088

FAX098-917-1089


2016年度~2019年度 森林伐採一覧表P9150529 P9150540 P9150527 P9150528

2019年10月01日(火)

宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書に対する抗議声明

 

 宮古島市が宮古島ごみ問題住民訴訟を提起した宮古島市住民の原告6名に対し、損害賠償請求の訴え提起を求める議案書を宮古島市議会に提出している問題で、本日、宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団は、高江弁護団、識名トンネル住民訴訟弁護団、石垣市教科書問題住民訴訟弁護団、やんばる命の森第3次住民訴訟弁護団と共同で記者会見を開き、抗議声明を発表しました。

 

「宮古島市のスラップ訴訟提起を求める議案書に対する抗議声明」

1 去る9月3日、宮古島市は、宮古島ごみ問題住民訴訟を提起した宮古島市住民6名に対し、当該住民らが訴訟手続や新聞報道において、虚偽の事実を繰り返し続け、宮古島市の名誉を毀損したとして、1100万円の損害賠償請求の訴えを提起を求める議案書を議会に提出した。

2 しかしながら、本来、地方公共団体は、住民主権(住民自治)や民主主義の原理の下にあり、その行政活動等の公的行動は主権者である住民の不断の批判と監視の下に置かれている。民主主義社会においては、マスコミも含め、住民が市や市政に対し、自由に批判することが不可欠であり、市や市政を批判する住民に対し、市が訴訟提起しようとすることは、住民を恫喝、威嚇するもので、住民の表現の自由や知る権利を侵害し、民主主義の破壊に繋がるもので断じて許されない。

 この点について、行政の事業に不正があるとの趣旨の番組を放映した番組制作会社等に対し、当該地方公共団体が、名誉毀損に該当するとして、損害賠償請求等訴訟を提起した事案において、東京高等裁判所は、2003年2月19日判決において、上記と同様の趣旨を述べた上で、地方公共団体に対する名誉毀損が認められる場合はあっても、地方公共団体と当該住民との間では名誉毀損は制度上予定されておらず、成立の余地はないと判断した。

 また、上記判決は、首長その他地方公共団体の個々の機関に対する表現行為が名誉毀損に該当する場合であっても、同時に当該地方公共団体の社会的評価を低下させるものでない限り、地方公共団体に対する名誉毀損には当たらないと判示しており、名誉毀損の成否に関し、行政の機関そのものと当該地方公共団体それ自体とでは明確に区別する判断を示した。

 上記判決でも示されているとおり、宮古島市住民は市及び市政を自由に批判できるのが当然であり、宮古島市と宮古島市の住民との間では名誉毀損は成立しえないものである。

 

3 ところで、発端となった宮古島ごみ問題住民訴訟は、宮古島市が業者との間で市内3か所の不法投棄ごみを撤去し原状回復をする内容の業務を委託する契約(以下、本件契約という)を締結し、代金を支払ったものの、その後対象となった不法投棄ごみの現場に大量のごみが残存することが発覚し、宮古島市が当初行った「ごみゼロ宣言」も撤回するに至った件について、委託料を合計2251万円とする本件契約が宮古島市に過大な経費負担を与える違法な財務会計行為であること等を主張して市民が提訴した住民訴訟である。

 大量のごみが残存することが発覚した後、宮古島市議会に設置された不法投棄ごみ残存問題調査特別委員会でその違法性が厳しく指摘された。ごみは現在も現場に残存したままである。

 住民訴訟では、住民らの請求は退けられたものの、判決では契約の履行確保のための監督・検査については、「きわめて杜撰な事務処理であるとの誹りを免れない」と指摘された。

 また、大量のごみが残存することが発覚した後、本件契約を担当していた宮古島市の職員が、計量票の改ざんなどを行った。同職員は、虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴され、有罪判決が下され、同判決は確定した。

 そもそも、住民訴訟は、財務会計上の違法な行為等が究極的には当該地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるところから、これを防止するため、地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として、住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え、もつて地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであって、財務会計上の行為等の適否ないしその是正の要否について地方公共団体の判断と住民の判断とが相反し対立する場合に、住民が自らの手により違法の防止又は是正をはかることができる点に、制度の本来の意義がある(最高裁判所1978年3月30日判決参照)。

 宮古島ごみ問題住民訴訟は行政の財務会計上の適正化がまさに問題となる事案であり、市民は参政権の一種として訴訟提起し、判決でも稚拙な事務処理であると指摘されたのである。

 住民訴訟の原告であった宮古島市の住民6名は、財務会計行為の違法可能性の追及と不適切な行政行為への批判をしたにすぎないのである。

 

4 それにもかかわらず、宮古島ごみ問題住民訴訟の原告に対し、同市が名誉毀損損害賠償請求訴訟を提起するということは、市政を批判する住民に対し恫喝、弾圧目的とする裁判であることは明らかである。

 住民運動に対する恫喝、弾圧目的とする裁判は、スラップ(SLAPP)訴訟と呼ばれる。それは、Strategic Lawsuit Against Public Participation(市民参加を阻害するための戦略的な訴訟)の頭文字をとったもので、「公衆の関心事について表現の自由を行使した者に対して起こされた戦略的訴訟」という意味である。権力を持っている者が、市民を相手として、自らに批判的な意見や運動を弾圧する目的でなされる訴訟である。

 スラップ訴訟は、表現の自由の保障された社会にとって、重大な脅威となる。裁判を起こされた場合、肉体的、精神的な苦痛といった負担や、経済的な負担が生じる。スラップ訴訟は、相手方にそのような負担を強いる、つまり苦痛を与えることを目的とし、結果的に、相手方が恐怖心から今後反対運動から手をひくこと、つまり萎縮させることを目的としているのである。

 アメリカでは、表現の自由を守るため、多くの州でスラップ訴訟を規制する法律がある。日本でも、著しく相当性を欠く訴えの提起は訴権の濫用として違法になる(不当訴訟)。例えば、高知地方裁判所は、2012年7月31日、高知県黒潮町が、町議が発行した広報誌に町政を批判した記事が同町の名誉毀損に当たるとして当該町議に対し損害賠償を請求した訴訟について、不当訴訟に当たる判断し、同町に当該町議に対し損害賠償金を支払うよう命じた(2019年9月10日付沖縄タイムス参照)

 宮古島市議会がこのような訴訟提起を許すこととなれば、住民訴訟の原告のみならず、宮古島市の住民が行政を批判することを自己規制する可能性があり、民主主義の原理を損ねる結果を招くことにもなり、不当訴訟に該当する。

 

5 以上のとおり、上記議案書提出は民主主義を破壊するもので、また、宮古島市に対する名誉毀損も成立しえない。加えて、住民の表現の自由を威嚇するスラップ訴訟に該当し、訴訟提起することになれば、逆に反訴等により、宮古島市が損害賠償責任を負う可能性もある。

 我々は、住民訴訟において、住民側の代理人としてこれまで関与し、現に関与している弁護団であるが、宮古島市の今回の議案書提案につき、住民訴訟上看過しえない重大な問題が存することに鑑みて、敢えて本声明を公表するとともに、議案書を提出した宮古島市当局に対しては抗議と議案書の撤回を求めるとともに、仮に撤回されなければ、議会においては速やかに否決することを強く求めるものである。

2019年9月12日

 

                       宮古島ごみ問題住民訴訟弁護団

高江弁護団

識名トンネル住民訴訟弁護団

石垣市教科書問題住民訴訟弁護団

やんばる命の森第3次住民訴訟弁護団

2019年09月12日(木)

国頭村での森林伐採に対する抗議声明

 

 

 当事務所の弁護士喜多と赤嶺が共同代表を、弁護士下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、2018年4月3日に、県内外の環境保護団体・個人とともに、国頭村内で行われている森林伐採について抗議声明を発表し、次の宛先に抗議声明を発送しました。

〇送付先

・国頭村長 ・国頭村議会議長 ・国頭村森林組合代表理事組合長 ・沖縄県知事

・環境省環境大臣 ・林野庁長官 ・那覇自然環境事務所 ・沖縄森林管理署 ・沖縄県議会

・大宜味村長 ・大宜味村議会 ・東村長 ・東村議会

 

 抗議声明の本文を下記に貼り付けます。

抗議声明

抗議声明の趣旨

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとともに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること

抗議声明の理由

1 環境省及び沖縄県は,やんばる地域の世界遺産登録を目指す立場を明確にしている。環境省は,2016年9月15日,国内33箇所目の国立公園として,沖縄島北部地域を「やんばる国立公園」として新たに指定した。これは世界遺産登録をにらんでのことだという。

 また,政府は,2017年2月2日までに,「奄美大島,徳之島,沖縄島北部および西表島」の世界遺産登録への正式推薦書をユネスコ本部に提出した。

2 他方,国頭村内では,現在,下記の3か所において伐採が行われている。その伐採は,皆伐という,草木を全て伐採して山を丸裸にする方法を採っている。

①字楚洲・我地原811-2 1.72ha

②字宜名真・吉波山1284-1 2.68ha

③字宇良・与俣原317-15 約0.58ha

 このうち②字宜名真の伐採地は,国立公園の第3種特別地域(1.38ha)が含まれている。国立公園内において1.38haという広範囲が皆伐されているという事実は,国立公園の指定が,やんばるの自然保護に十分な有効性を発揮していないことを示している。

3 やんばるは,世界自然遺産登録条件のうち、「生態系」及び「生物多様性」の項目に該当する可能性があるとされている。

 しかし,皆伐が行われ続けると,上記登録基準に非該当とされ,登録が困難になることは明らかである。

4 やんばる地域の世界自然遺産登録を目指している環境省,沖縄県及び国頭村が,このような事態を容認・放置するのは,行政として矛盾した対応である。

 世界遺産登録は,やんばるに世界的な注目を集め,集合知をもってその発展を模索する契機となりうる。持続可能性を無視して自然を利用し続けること及び人間が生活して富を得るための代償であるならばやむを得ないという態度を再考し,国頭三村が森林の保全・保護と経済的自立を両立する機会として利用すべきである。

 我々は,環境省,沖縄県及び国頭村に対し,世界遺産登録という方向性に沿い,やんばるの自然をこれ以上破壊せず,保全・保護する方策を採るよう提言する。

 

国頭村宜名真の伐採地

2017.11.12 伐採地(楚洲)

 

国頭村楚洲の伐採地

2017.11.12 伐採地(宜名真)

 

やんばるDONぐり~ずホームページ

https://yanbarudonguri.localinfo.jp/

2018年04月16日(月)

意見書~やんばる地域の世界遺産登録について意見書~

 

 当事務所の弁護士喜多と赤嶺が共同代表で、弁護士下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE JAPAN)と連名で、2017年3月21日に「意見書~やんばる地域の世界遺産登録について~」を発表し、同日、世界自然遺産登録に関して調査・評価を行うIUCN(国際自然保護連合)に同意見書を送りました。

 

意見書1頁

↑の画像をクリックするとPDFで全文がみられます

2017年03月23日(木)

国頭村での平成28年度森林伐採に対する抗議声明

 

 当事務所の喜多と赤嶺が共同代表、下地が事務局長を務めるやんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE Japan)等の自然保護団体有志とともに、国頭村森林組合による平成28年度の森林伐採に対して、「①国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること ②今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること」を求め、2017年2月22日に抗議声明を発表しました。

 抗議声明は、国頭村森林組合、国頭村、沖縄県知事、環境大臣、林野庁長官等に送付しました。

 以下、抗議声明の全文です。

 

 

抗議声明

2017年2月22日

関  係 者 各 位

抗議声明の趣旨

 我々は,国頭村有地において現在進行中の伐採に対して抗議の意思を表明するとと もに,下記のとおり緊急に提言する。

1 国頭村有地において現在進行中の伐採を直ちに中止すること

2 今後やんばるの森林の伐採を行わず保全・保護のためのあらゆる方策をとること

抗議声明の理由

1 環境省及び沖縄県は,やんばる地域の世界遺産登録を目指す立場を明確にしている。環境省は,2016年9月15日,国内33箇所目の国立公園として,沖縄島北部地域を「やんばる国立公園」として新たに指定した。これは世界自然遺産への登録をにらんでのことだという。

 また,政府は,2017年2月2日までに,「奄美大島,徳之島,沖縄島北部および西表島」の世界遺産登録への正式推薦書をユネスコ本部に提出した。

 

2 他方,国頭村内では,現在,下記の3か所において伐採が行われている。その伐採は,皆伐という,草木を全て伐採して山を丸裸にする方法を採っている。

 1.字謝敷・智津気山1249―1     4.96

 2.字辺土名・内間1094―393    1.50

 3.字宇良・与俣原317―15      2.40

 このうち①字謝敷の伐採地は,国立公園の第2種特別地域に該当する。国立公園内において4.96haという広範囲が皆伐されているという事実は,国立公園の指定が,やんばるの自然保護に十分な有効性を発揮していないことを示している。

 

3 やんばるは,世界自然遺産登録条件のうち、「生態系」及び「生物多様性」の項目に該当する可能性があるとされている。

 しかし,皆伐が行われ続けると,上記登録基準に非該当とされ,登録が困難になることは明らかである。

 

4 やんばる地域の世界自然遺産登録を目指している環境省,沖縄県及び国頭村が,このような事態を容認・放置するのは,行政として矛盾した対応である。

 世界遺産登録は,やんばるに世界的な注目を集め,集合知をもってその発展を模索する契機となりうる。持続可能性を無視して自然を利用し続けること及び人間が生活して富を得るための代償であるならばやむを得ないという態度を再考し,国頭三村が森林の保全・保護と経済的自立を両立する機会として利用すべきである。

 我々は,環境省,沖縄県及び国頭村に対し,世界遺産登録という方向性に沿い,やんばるの自然をこれ以上破壊せず,保全・保護する方策を採るよう提言する。

 

抗議声明表紙 別紙

画像をクリックするとPDFで抗議声明と添付資料をご覧いただけます

2017年02月23日(木)

7月1日開催シンポジウム「命の森やんばるをいかに守るか~『やんばる国立公園』案を検証する~」のお知らせ

 

シンポジウムのお知らせです。

当事務所の弁護士喜多と赤嶺が共同代表を務める「やんばるDONぐり~ず」と「NPO法人 奥間川流域保護基金」の共催で、下記のシンポジウムを開催することになりました。

 

 

「命の森やんばるをいかに守るか~『やんばる国立公園』案を検証する~」
日時:2016年7月1日(金)18:30~
場所:てぃるる2階会議室(沖縄県男女共同参画センター、那覇市西3-11-1)
共催:やんばるDONぐり~ず、NPO法人奥間川流域保護基金
★参加費無料★

問い合わせは当事務所まで 098-917-1088

 

2016年7月1日やんばるシンポチラシ

 

2016年06月13日(月)

意見書「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」の報道について

 

 2016年3月23日に、やんばるDONぐり~ず(当事務所の喜多と赤嶺が共同代表)や日本森林生態系保護ネットワーク等が連名で「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」という意見書を発表しました。

 このことが、翌日(3月24日)の沖縄タイムスと琉球新報で紹介されました。記事のリンクを下に貼り付けます。また、琉球新報では英語版HPにも記事が紹介されました。

 

沖縄タイムス 2016年3月24日「やんばる国立公園「狭すぎる」 環境団体が意見書」 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=160043

琉球新報 2016年3月24日『やんばる国立公園 特別保護区「狭い」 自然団体、再考促す』 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-244494.html

 

琉球新報 英語版HP

Environmental groups say plan for Yambaru National Park conservation area falls short March 24, 2016 Ryukyu Shimpo

http://english.ryukyushimpo.jp/2016/03/30/24740/

2016年04月01日(金)

やんばる地域の国立公園化計画の問題点

 

 今月、環境省は沖縄本島北部のやんばる地域を国立公園化する方針を発表しました。

 これに対し、当事務所の弁護士喜多と弁護士赤嶺が共同代表を務める自然保護団体・やんばるDONぐり~ずは、日本森林生態系保護ネットワーク等と連名で、「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」という意見書を発表しました。

 意見書は、関係省庁、沖縄県、関係自治体に送付します。

意見書1ページ目

画像をクリックするとPDFで意見書全文をご覧いただけます

2016年03月23日(水)

命の森やんばる訴訟判決の報告

 

命の森やんばる訴訟判決の報告

弁護士 喜 多 自 然

1 やんばるの自然環境と開発の経緯
 やんばるは沖縄県北部,国頭村,大宜味村,東村の三村にまたがって広がる地域で,イタジイを中心とした亜熱帯の照葉樹林帯が広がる森林地帯である。ここにはノグチゲラ,ヤンバルクイナ,ヤンバルテナガコガネなどの固有種・希少種が多数生息している。これだけの固有種が30平方キロメートルほどの地域に生息する状況は日本のみならず世界的にも稀で,世界的にも生物多様性に富んだ,特に保護すべき地域である。環境省も2003年に奄美・琉球諸島を世界自然遺産登録の候補地としてあげていた(同時に候補地としてあげていた知床と小笠原はすでに登録されている。)。
 しかし,このやんばる地域は開発の危機に瀕している。とくに沖縄の本土復帰(1972年)以降,ダム開発,土地改良事業などの大型公共事業が行われてきた。そのなかで現在でもとくに問題になっているのが,林道開発,伐採,森林施業などの林業の名目で行われる開発である。林道については,やんばるにはすでに編み目のように林道が張り巡らされているし,森林伐採は,皆伐という,草木を全て伐採して山を丸裸にする伐採が毎年10ヘクタールほどの規模で行われている。
 このような開発は林業の名の下に行われているものの,それは「業」として行われているというにはほど遠いものである。「業」として行う以上,将来にわたって一定の採算が確保され,地元経済にも資するものでなければならないが,やんばるの開発は異なる。民間の林家が所有する森林を育てて収穫するという,本土で行われているような林業ではなく,ほぼ全ては国頭村という村が所有する森林について,立木が国頭村森林組合に払い下げされて皆伐された後,皆伐された場所を植林するというものである。植林やその後の森林施業の過程で国庫から多額の補助金が出るためその補助金目当てに伐採が行われるという悪循環に陥っているのが現状である。
 林道についていえば,とくに地形の急峻なやんばるの森に,周囲の木を伐採し,切り土盛り土をし,沢を埋め立てて,幅3,4メートルのコンクリートの道路を通すというもので,自然環境への影響は計り知れない。これも実際には林業にはほとんど使われておらず,昆虫や蝶,ランなどを目当てにした密猟者が山奥に入りやすくなったり,林道でヤンバルクイナが車にひかれたり,夏には林道を渡ろうとした小動物が途中で力尽きて干からびたりと,悪影響が大きい。もともと急峻な地形ゆえに法面も急峻で,台風のたびに大規模な崩落を起こし,数千万円の復旧費用がかかるといった問題もある。

 

2 訴訟の提起と林道事業の休止
 すでにやんばるには網の目のように林道が張り巡らされていたが,さらに多数の林道が計画されてきた。とくに楚洲仲尾線と呼ばれる林道の予定地は,沖縄の固有種で,やんばるの森の重要な構成種であるオキナワウラジロガシの大木のある,やんばるの中でもとくに重要な場所であった。
 そこで,沖縄県の住民が,林道開設事業の公金支出差止めを求めて2007年に提訴した住民訴訟がこの訴訟である。弁護団は,関根孝道弁護士が中心になって結成した。訴状の段階ではやんばるの森林の重要性を強調し,良好な自然環境の保全・形成等の配慮義務違反(森林法4条3項),保安林解除手続違反(森林法26条1項),文化財保護法・同条例違反,種の保存法違反などを指摘した。
 その後,県民世論の高まりもあって,上記の楚洲仲尾線は140メートルほど完成した時点で工事がストップすることになった。

 

3 林道の問題から森林施業全体の問題へ,訴訟の争点の広がり
 この訴訟は当初は林道開設事業を問題にしていたのであるが,この林道は森林環境保全整備事業,つまり名目上の林業のための事業の一つであった。そこで,訴訟においても,森林環境保全整備事業そのものについて争点にすることになった。まず問題にしたのが費用対効果の問題である。森林環境保全整備事業を行う場合,国庫(林野庁)から補助金が支給されるが,その際に林野庁が定めたマニュアルには費用対効果の計算方法が定められており,1.0を上回らなければならないとの定めがあった。そこで,このマニュアルに違反する計算方法が取られていることを主張した。このような主張に関連して,費用対効果の計算の基礎資料の提出を被告に求めたところ,存在しないとの回答があった。この費用対効果の問題は裁判のみならず沖縄県議会でも大問題になり,県は費用対効果の再計算を行わなければならない事態に発展した。とくにマニュアルでは森林環境保全整備事業の森林整備分の費用対効果算出が義務付けられているのに,沖縄県では全くなされていないことを県職員の尋問などで明らかにした。
 このような裁判,議会の動きと県民世論により,沖縄県の公共事業評価監視委員会により,林道事業はすべて休止という扱いになった。
 また,訴訟では,世界遺産条約や生物多様性条約などの国際条約により,地方自治体が生物多様性を保護する義務を負っており,十分な科学的調査を行わずに生物多様性を破壊することはそのような義務に違反するという主張も展開した。国際環境法の磯崎博司先生にも証言をしていただいた。
 世界遺産条約は,登録の有無にかかわらず世界遺産としての価値を有する地域の保護義務を規定している。冒頭に指摘したとおり沖縄県はやんばるの世界遺産登録を推進する立場にあり,世界遺産としての価値を有することは沖縄県自身が認めていることである。この点は登録に向けた行政間のやりとりを記載した文書や県自然保護課課長の尋問により明らかにした。

 

4 地裁判決のポイント
 地裁判決は,形式的には却下判決であり,「近い将来当該財務会計行為がされることが相当の確実さをもって予測される場合」ではなく,訴えの利益がなく訴訟要件を欠くとの判断であった。そのように判断した直接の理由は,林道事業が休止から既に7年以上が経過しているため,これが再開することが見込まれない,というものである。
 しかし,裁判所はこの点を論じるに当たって,重要な判示を行った。判決はまず,やんばるが世界遺産登録候補地に選定されていること,沖縄県自身が登録を推進し,2012年の「沖縄21世紀ビジョン基本計画」や2013年の「生物多様性おきなわ戦略」にもその旨明記されていることからも分かるとおり,やんばる地域の保護を「環境行政上の重要目標に掲げ,同地域が世界的に見ても生物多様性保全上重要な地域であることを明確に打ち出して,その環境保全に本格的に乗り出そうとしている」と指摘した。林道事業の計画当初と比較して,「沖縄県の環境行政には顕著な変化が見られる」と指摘したのである。
 そして,このような環境行政等との整合を図る観点から,「現時点において現状のままで本件5路線の開設事業を再開することになれば,社会通念上これを是認することはできず,社会的妥当性を著しく損ない,裁量権の逸脱・濫用と評価されかねないものと考えられる」と判示した。
 要するに,沖縄県がやんばる地域の保全を図ることを重要な政策目標に掲げている状況で林道開設事業の再開は許されない,ゆえに支出の見込みがないので訴えを却下するという論理が採用されたのである。
 我々は,訴訟提起とその後の運動により林道が休止されたこと,判決により上記のような判示が示されたことから,控訴はしないことにしたので,判決は確定した。

 

5 自然科学調査との連動
 この裁判は,日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE JAPAN)との連携して進められた。科学者が裁判の期日ごとにやんばるを訪問し,現地を視察したほか,自然科学的な調査を行い,これまで十分に解明されてこなかったやんばるの生態系や,開発が自然環境に与える影響について地道な調査研究を行い,最終的に調査報告にまとめた。このような調査はCONFE事務局長で訴訟の代理人でもある北海道の市川守弘弁護士が裁判に反映させてきた。
 調査結果に関連したシンポジウムなども行い,普及啓発活動も行った。
 微力ではあるが,裁判の途中から代理人になった沖縄の弁護士(私と赤嶺朝子弁護士)が共同代表となって,「やんばるDONぐりーず」という自然保護団体を立ち上げるという動きもあった。

 

6 残された課題
 現在,沖縄県は2013年に「やんばる型森林業の推進」と題する文書を作成するなどして,やんばるの森林をゾーニングして,自然保護と林業の調和を図るという方針を立てている。しかしその実体は,保護区は全体の約7%でこの場所は現時点でも既に保護されている場所が大部分である。つまり,現在の開発に規制をかけるようなものにはなっておらず,むしろ自然保護との調和名目に現在の開発を継続するお墨付きを作ろうとしているとも見ることができる。
 沖縄県や国頭村は,持続可能性のない森林伐採を止めて,やんばるの森林の保護,自然を生かした地域づくりに方針を転換すべきである。そのためには,これまでの運動をさらに発展させるべく,やんばるの重要性,貴重性を訴えていくことが必要である。

 以 上

 

皆伐された森

2014年 やんばる宜名真の伐採の様子

(本稿は、日本環境法律家連名発行の「環境と正義NO.177 2015.5月号」に掲載された原稿です)

2015年05月11日(月)

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